短・中編
□長門有希の告白 番外編〜キョン古〜
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場所は古泉の家の脱衣場。
一緒に風呂に入るとか言ったのが間違いだった。
なぜ俺がこんなにも後悔しているかというとそれは有希──まだ呼び慣れないな──が古泉と風呂に入るよう俺に頼んだからであり、その理由は古泉が一人では入らないとかぬかしやがったからだ。
それに加え俺が今ここにいるのもこいつが風邪をひいたからで、つまりは全て古泉のせいだ。はい、責任転嫁終了。
「酷いですね」
口ではそう言いながらも頬が緩みっぱなしだ。
「あなたと一緒にお風呂に入れるなんて貴重ですからね」
そう言ってにやにやにや。ちょっとは遠慮したらどうなんだ。そんなににやけてるとせっかくのイケメンが台無しだぞ。
「おや、あなたが褒めてくださるさんて……」
顔を伏せて頬を染める。一応言っとくが下を向いたって俺には見えるんだよ。認めたくはないが。
「光栄です」
きらっ、という効果音が聞こえてくるような笑顔。うん、いつもの外交的な笑みよりはこっちの方が好きだ。
「恐れ入ります」
……別に褒めてるつもりはない。
古泉はふふ、と女性的な微笑みを浮かべて黙ってしまった。ほら、早く服脱げ。
俺も静電気でバチバチと音をたてながら長袖のTシャツを脱ぐ。痛てっ。
「狭いですね……」
そりゃそうだ。本来ここは二人用にできてない。つーことで俺は先に風呂に入る。
「あ、ちょっと、」
制止する声を無視してバスルームのドアを開ける。俺、絶句。
「っと……どうしたんです?」
どうしたも何も……
広過ぎじゃないか?
「僕も最初は驚きました」
古泉はくすくすと余裕の笑み。
「本当にあなたは可愛い反応をなさいますね」
「うるさいっ」
変なことをほざく古泉を一喝し、浴槽に近づく。本当に広い。
「古泉っ、入っていいか?」
なんか童心に返った気分だ。
「その前にすることがあるでしょう?」
は? ちょ、お前変なことはしないって……
嫌な予感がして振り向くとシャワーをとろうとする古泉がいた。そうか、そうだよな……
「何を期待していたのです?」
ばっ、期待なんてしてねぇ!
「湯船に浸かるときはまず汗を流してから。常識でしょう?」
まあ……な。
「おや、残念そうな顔をしていらっしゃいますが?」
……うるさい。
「シて欲しいならおっしゃって下さいね」
誰が言うか。
しゃああああという音をたてて熱い水の粒が背中を打つ。
「あぁぁ……」
いや、特別な意味は無くてだな。ほら、冷えきっていた体を急に温めると息が漏れるだろ? そんなやつだ。
「これだけで感じてしまったのですか?」
だから違う。調子に乗ってケツを触るな。
身を捩って逃げると古泉の見事な体が目に入った。お前、本当にいい体してるよな……
じろじろ見ていると、
「ちょっと、どうしたんですか?」
いや、なんでもない……
ぴと、と優しい顔に似合わず厚い胸板に張り付く。
「えっ……ちょ、」
あわあわしている古泉はかなり可愛かった。試しに胸の突起にキスをしてみる。
「ふあぁ……」
期待通り……いや、むしろ期待以上の反応にどんどん面白くなってきた。
「あなた、変なことするなって……」
別に恋人同士なら自然なことだろ?
「ひきょうっ、ですよ……」
赤く色づいているそこをぺろりと舐める。
「うぁっ……」
「古泉、ここ、」
と硬くなりつつある場所を指し、
「もうこんなに元気だぞ」
ちょろりと指先で円を描く。
「やめっ……」
「やめていいのか?」
すかさず聞き返す。
「っ……」
上気した顔を見られたくないのかそっぽを向き小声で付け足す。
「続けて、下さい……」