夜想曲ーa nocturneー
□*確執篇*
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保健室に連れて来られた由比は
ショックが大きかったのか
放心状態のままで、反応しない
奈波は、
"傍観者"の立場である自分を
責めていた。
("傍観者"…ふざけんなよ。
弟の由比が困ってんのに…
助言すら出来ないのかよ…)
目を覚ましたばかりの淳輝は
よからぬ出来事が起きたと
雰囲気で感じ取って、
敢えて触れないようにしていた
一方、和来は皇海が転落した場所から
覗いていたある人物に気付いていた。
(___くん。
今回は、やってはいけない事を)
放心状態の由比を気遣う奈波に近寄り
「"傍観者"として、
僕らはこの出来事を
見届けなければならない。
奈波さんも"傍観者"として
由比さんに手助けしては
いけませんよ…?」
奈波は和来からの発言に
反発しようとしていた。
「了承などするかよ。
弟の手助けするなって?
ふざけんなよ…!!!!!
オレは"傍観者"として
見届けるつもりはない」
「あなたは"傍観者"として
生きなくてはならないんです」
「生きなくてはならない?
強制的にオレの人生に押し付けるな」
和来へキレかけた奈波の声から
我に帰る由比は、
「なんで、保健室に居るの?」
皇海が血を流しているのを観て
冷静さを失った事に気づく。
「皇海は、無事なの?」
「頭を打ってて、
出血が酷かった。
だけど…大丈夫だ。」
奈波は、由比の頭を撫でて安心させた