*宝箱*

□Ginger Brown 桂さほ様より 可愛いお話頂きました☆
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原田は気を取り直して案内所に足を向けた。きっとちづるの母親達もそこで心配して待っているに違いない。


預けたら俺も早く千鶴を見つけねえとな。


「あっ」

一人あれこれ考える原田の思考を破るようにちづるが大きな声を出す。

「どうした?」
「そーしお兄ちゃんなの!!」

パタパタ暴れるので慌てて降ろしてやるとちづるは一目散に駆けて行く。

「おい!ちょっと待て」

違ったらどうするんだとちづるを追い掛けようとしたら後ろからキュッとコートを掴まれた。

「−−原田さん!」

その声に慌てて振り返ると千鶴が両手でガッシリ原田のコートを掴んでいる。

「千鶴?」
「良かったですぅ」

原田と再会が出来て安心したのか目をウルウルさせる。

「こっちこそ安心した…」

原田は千鶴の肩にしっかり腕を回してホッと安堵の息を吐きながら、ちづるが駆けて行った方向に視線を向けると「そう言えば」と思い出したように千鶴は話し出した。

「小さかった時にお母さんと総司お兄ちゃんにこんな感じの場所に連れて来て貰ったんですけれど」

例の如く物珍しさにキョロキョロしている内に迷子になってしまったらしい。

「それでとても心細くて誰かに助けて欲しくて私ってば見知らぬ人のコートの裾をとっさに掴んだんです」

照れて笑う千鶴に原田の心臓は大きく鳴った。

「覚えているのはその人が困惑しながらも私の相手をしてくれていた事なんですけれど…原田さん?」
「まさか、その時ピンクのフワフワコート着てクマのぬいぐるみを抱き締めていたなんて言うなよな」

真剣な声の原田に千鶴は目を見開いた。

「凄いです原田さん洋服は覚えてないですけれどクマのぬいぐるみは抱き締めていたんですよ〜」
「マジかよ…」
「でも失礼な子供ですよね。お礼も言わないで行っちゃうんですもの」

昔から他人に迷惑を掛けてばかりですと子供だった自分の行動に今更落ち込む千鶴。

「…まぁ良いんじゃねえか」

世の中には説明出来ない不可思議な事象があると言う。今日はたまたまそれに当たっただけ原田は強引にそう思う事にした。

「ソイツは可愛いチビに頼られて満更でもなかったかもしれないしよ」

原田は笑みを浮かべて千鶴を背後から抱き締め直す。恥ずかしがって小さく暴れる千鶴を見ながらさっきは積極的に抱っこを強請ってきたのにな、と意味不明な事を言い益々千鶴を困惑させたのだった。





〜end〜


ブログに載せた落書きにこんな可愛いお話しを書いて下さいました|ョω・`*) キ ャ ッ *:゚・☆本当にありがとうございます・・・☆☆☆
しかし・・・すてきな文章に絵が・・・(;゚ω゚)
合ってるのか・・・もっと精進したいと思います。さほさんありがとうございました☆
【壁】;ω;`)oO(感謝)゚+。:.゚.:。+
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