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□空に墜ちた男
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知ってるかい
夢を殺した男の話を
無名の画家が言った
空の青さを疑い
ヤツは空に墜ちた
この街は俺を知らない
悲しみを数える指が両手で足りる
そんな奴らに俺を理解出来るはずがない
色の無い白い絵
まるで落書きみたいな
そこには空があった
知らない空があった
千切れた羽根が
蝶のように舞う
不思議な絵だった
この街は俺を知らない
子供のような夢を描き続けた彼は
いつも幸せそうな顔して世界を眺めていた
こんな腐った世界をだ
俺にはわからなかった
たった今までは
彼が悲しんでいたことにも
自分を感じる
空の青さを疑う心
指は進まなかった
色も褪せたようで
彼は苦悩していく
世界が枯れ
自分を蝕み
綺麗なモノが描けなくなった時に
彼は生きる意味を失ったのだから
あの絵のように空へ墜ちた
運命はいつだって残酷なもので
彼は夢と心中したんだ