love me.

□思いを伝えて、
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ところで、ヘリコプターで如月を拾って、すぐに家に帰って、言葉を交わして、という予想通りの展開にはならなかった。俺たちがヘリコプターを同業者に返し会社に戻ると、予期せぬ客人が玄関で待ち受けていたからだ。

「お待ちしていましたよ、早坂さん」

きゅっと吊り上げた眉、意志の強そうな瞳、黒く短い髪の毛は清潔感がある。以前俺が葛西にやられた際、事情聴取を担当した女刑事だ。名前は、確か、等々力。

「これはこれは、等々力さん」

体を強張らせる如月とは反対に、アニキは鷹揚な態度で出迎える。

「その節はどうも。それで、警察の方がこんなところに何の用です?」

等々力はその質問にすぐには答えず、俺たち三人を順番に観察したあと「ロケットランチャーはもう持っていないんですね」と、少しの毒を含ませながら言った。

「ロケットランチャー? 何のことやら」
「ヘリコプターも、免許を持っていない割には運転がお上手で」
「何のことだかわかんねーな」

俺が欠伸をしてみせると、等々力の吊り目がこちらに向く。

「しらばっくれる気ですか」
「警察のねーちゃん、そんな下らないイタチごっこをやりに来たわけ? こっちだって暇じゃないんだ、さっさと用件済ませて帰ってくんねーかな」

どことなくそわそわしている如月を背中に庇い、俺はわざとらしく声を上げる。等々力はむっとしたように口を開き、思い直したように閉じた。

「いいえ、早坂幸宜さん、今回はあなたに伝言をしに来ただけです」

そう言うと、等々力はアニキと如月をちらりと見た。何かを察したのか、アニキは「如月、我々は先に夕食の準備でもしていよう」と彼女の手を引いた。如月は納得がいかないとばかりに顔をしかめたが、大人しくアニキについていった。

二人がドアの向こうに消える。
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