銀魂駄文
□君が好き
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肌に刺すような冷たい風からポカポカと暖かい季節。春。
そんな季節がこの町、かぶき町にもやって来た。
「ったくサボりやがって…」
胸ポケットからタバコを取り出し火を付ける。
黒い制服に黒い癖のない髪、そして漆黒な眼をもつこのかぶき町で真撰組の副長、土方十四郎は町を巡回していた。
何時もサボり癖の激しい土方の座を狙う1番隊隊長、沖田総悟はサボりのため今日は土方一人で巡回をしていた。
早く終わらせようとすたすたと歩いていると前から癖のある銀髪をぴょんぴょんと跳ねさせながらアイスクリームを食べている万事屋を営む坂田銀時が歩いてきた。
「おー大串くんじゃねぇか」
片手を上げて土方の前で止まった。
「んだよ。お前と違ってこっちは仕事してんだよ邪魔だ」
土方は内心ドキドキしながら話していた。何時も銀時と話す時喧嘩腰になってしまう自分に嫌気をさしながら。
「んだよただ挨拶しただけだろーがコノヤロー」
銀時は眉間にシワをよせた。
「昼間っから甘いモン食いやがって仕事しろ仕事」
口からタバコの煙を出しながら言う。
「今日は良いんだんよ今日は」
「今日はって言いながらテメーいつも食ってんじゃねーか!」
「ゔっ…ほっとけよ!じゃあ銀さん用事があるからまたね」
焦ったように銀時は去って行った。
土方は去って行く銀時の後ろ姿を見つめ、ため息をついた。
まだ話していたかったと思いながら。