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□dress up in love(8)
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『やっほぅ土方くん。ちょっとモデルの件で電話したんだけど俺のダチでちょっとレベル高い奴らがいるんだ。そいつらにタダでモデルさせれば安上がりだから紹介するよ』






数週間前。

そんな電話を寄越した能天気男は、現在、赤くなった頬に氷水の入ったビニール袋をあてながら、壁際で沖田と談笑している真っ最中である。

土方は雑誌のレイアウトを担当する社員と打ち合わせをしながら壁際ばかりを気にしていた。

高校生の頃にやんちゃをしていた土方だが、今は落ち着いている。

人を殴ったのは久々で、未だに右手にピリピリと感触が残っている。





(………あ、やまった方が……いいか?)





彼女たちをモデルとして連れてきたのは銀時の善意だということは土方も分かっている。彼女たちのように流行の先駆者が『Truth』の服を着てくれれば鬼に金棒だ。

(……それにしたって、やり方ってもんがあるだろう…)

彼女たちは問題ないと言っているが、果たして彼女たちの事務所は納得するだろうか。

賠償問題になればただではすまない。裁判ともなれば億単位の賠償金を支払わなければならないのだ。

(大事なことは先に言えっての)

分かっていたことだが銀時は型破りだ。こんな綱渡りのような宣伝は企業人には出来ない。

感謝はしている。

しかし、自分には無理なことをさらりとやってのける彼に素直に感謝を言えば、何かに負けてしまうような気がした。

あくまでも、土方は銀時とは対等でいたかった。





(………って、なんで俺はさっきからアイツのことばっかり考えてるんだよ……)






悔しいが認めねばなるまい。

土方は銀時が気になっていた。理由は簡単だ。





『ねぇ土方くん。俺と取り引きしない?』

『だから、もし売上を黒字にできたら俺とキスしてよ。土方くん』

『俺は土方くんとキスしたいし、キスすることが当たり前の関係になりたい』





あんなことをいうからだ。




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