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□dress up in love(6)
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「みんなぁッ!! ご苦労だったな!!
無事上半期も終わり、これから秋冬物に入る。各部署によって成果は色々だが『Truth』としてはそう悪い方じゃなかった。この不景気だか下半期もこの調子で乗り切ってもらいたいッ!!!
反省する点は悔い、教訓は生かし、これからも『Truth』の繁栄、発展に努めてもらいたい!!!
まぁ堅苦しい話はこのくらいにして今日は楽しめぇぇッ!!! かんぱぁぁぁぁいッ!!」
『かんぱぁぁぁぁいッ!!!!』
宴会慣れしているらしい近藤社長に軽快な音頭をとられ、男たちは笑顔で復唱し高々と持ち上げたコップを近所の同僚たちとぶつけ合う。
そこは『Truth』本社近くにあるホテルの宴会場。
そして今は『Truth』の謝恩会が催されていた。
本社にいる各部署の人間から遠方の工場に在籍する工場長まで呼ばれている。
酒豪の近藤は度々こういった宴会を開くので、社員はみな部署や上下の垣根を超えて気さくに歓談していた。
「お疲れさん♪」
「おぉ万事屋ッ!! 楽しんでるか」
「もちろんッ!!!」
すでに上半身裸である近藤の席にビール瓶を持った銀時が酌をしにきた。
銀時は、やたらとテンションが高い。酔っているというよりも浮かれている。
笑顔が絶えず、次の瞬間には世界に感謝を叫びそうなほど歓喜に満ち満ちている。
嬉しい。
嬉しい嬉しい嬉しい。
だって。
「上半期の功労者は万事屋だろうな。レディースのプロジェクトが成功したのはお前のおかげだ。ありがとな」
「いやいや。お礼を言われるようなことはしてねぇよ」
全て下心があってのことだ。
「謙遜するな。38パーセントの黒字なんて、しようと思ってできることじゃない」
38パーセントの黒字。
銀時はニヤリと笑う。
勝手に頬が緩む。踊り出してしまいそうで足がウズウズしている。心臓が高鳴る。
『取り引き』は成立した。
半年かかったが、自分は勝った。
◇