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□dress up in love(3)
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パチ…パチ…パチ…パチ…。

銀時は作業台の前で渋面を作り、くるくるとシャーペンを回していた。

「……ううううぅぅ〜ん」

低く唸る。

形が決まらない。

しっくりこない。

自分がデザインするのは愛すべき我が子だ。

『これは素敵だ』と自画自賛できるほどのものにしなければ人に見せることは出来ない。

そのために銀時は産みの苦しみを味わっていた。

(『Truth』はメンズブランド…そこから発売されるんだからユーザーが求めてるのはメンズの格好良さか?

いやいや。チェックやドットを織り込んだ『可愛い系』が売れ筋なんだから、ただ格好良いだけでも駄目だろう。

それに格好良いだけの服なら『Truth』が発売しなくても、レディースのアパレルが出してる……)

頭の中でグルグルとデザインが渦巻くが、どれもこれも描きたいものとは微妙に違っていて、銀時は形になる前に否定している。

思いついた時にすぐ描けるようにシャーペンは持っているが、紙にデッサンを描きおこすことの出来ない右手はシャーペンを回すしかすることがなかった。

パチ…パチ…パチ…。




(……ダメだ…完全に煮詰まった)



このままではペン回しの技術ばかりが向上してしまいそうで、気晴らしに散歩にでも行くかと考えた時だった。

《ピンポーンッ》

玄関のチャイムが鳴る。




銀時はガバッと立ち上がって玄関に向かって走る。

その姿は待てを言われていた犬がやっと許しをもらいエサに飛びつく様に似ていた。

「こちら坂田銀時さんのお宅ですか? メール便をお届けに…」
「待ってましたああああぁぁぁぁぁッ!!!!!!」

ドアを開けた瞬間に宅配業者の持っていた白い封筒に飛びついて頬ずりする。

宅配業者のお兄さんは銀時のあまりのテンションにビビるが、何とか仕事はまっとうした。

部屋に戻る時間さえ惜しんで、銀時は玄関近くのフローリングの床にあぐらをかいて封筒を開いた。

中に入っていたのは数冊のファッション雑誌。

そして、その表紙の人物を見た瞬間、銀時は叫びながら雑誌を抱きしめた。







「愛してるぜ土方ぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッッ!!!!!!!」




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