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□dress up in love(2)
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最初は適当に見て帰ろうと思っていたが、今はそんな気持ちは遥か彼方へと飛んでいってしまった。

バシュッ、バシュッ、とフラッシュが網膜を焼き、目の中で残光がチカチカと光っている。

しかし銀時はパイプ椅子に腰掛けて、穴が空きそうなほどじっくりと撮影風景を見つめていた。




否、銀時は唯独りを見続けた。




茶髪のモデルが抜けて、今は黒髪の彼がピンで写されている。

先ほどダークグレイのスーツに着替えた彼は、深紅の薔薇の花束を持ってダブルベッドの上で横になっていた。

(何アレッ!? エロ過ぎだから!! 誰が考えたシチュエーションだよ!! ごちそうさま!!!)

と、顔では平静を装いながら、かなり悶々としていた。

白いシーツの上を泳ぐ手足。

髪を掻き上げたり、花束を縛る赤いリボンを指で遊ばせたりする仕草には普通の男にはない色気がある。

仰向けの状態で頭を反らすと白く細い首が見えた。

その肌色に銀時の欲が煽られて、背中にぞわぞわと鳥肌が立つ。

駆け出しとはいえデザイナーである銀時。

何度か女性モデルと関係を持ったことはある。

だがそれでも銀時は、心のどこかで彼女たちの美しさを侮蔑していた。

ウォーキングもエステも体型維持も、彼女たちは『自分の服』をより良く見せるために努力しているのだと。

額縁(モデル)が綺麗だから絵(デザイン)も綺麗に見える。

彼女たちを綺麗だとは思っても、自分の服よりも好きにはならなかったし、そしてそれが彼女たちと別れてきた原因だったと思う。




しかし彼はどうだ。




彼はどんな服を着ても服に負けない。

他のモデルのような『動くマネキン』ではなかった。

服を着せられていない。

―――服を着ていた。





こんな奴に自分のデザインした服を着てもらえたらどれだけ幸せだろう。






この男の美しさに挑みたい。

そして、この男の美しさが、欲しくてたまらなかった。






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