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□雪の花(2)
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土方十四郎は不思議な少年だった。

頭がよくて運動神経も抜群。

喧嘩が強くて男子に好かれ、顔が良くて優しいから女子にモテて、物静かで礼儀正しいから大人受けがよかった。

土方は老若男女からモテた。

そんな土方は、銀時にとって自慢の親友である。

しかし本来、そんな完璧超人のような人物はやっかみを受けるだろう。銀時だって、そんな欠点のない人間は嫌だ。

土方以外は。

しかし、土方だけは違った。

土方は頭はいいし、運動も得意だし、見た目は満点。

だが。

「なぁ十四郎。サッカーやろう」
「……さっかー?」
「サッカー知らねぇの?」
「やったことない」
「しょうがねぇなぁ。教えてやるよ」

土方は勉強はできたが一般常識の欠けた部分があった。

こんなことがしょっちゅうあって土方や銀時のどちらかが優位に立つことはなく、良好な交友関係を築いてきた。






それが変化したのは銀時が中学校にあがって間もなくの頃だった。





夢を見た。

雪山の夢だ。




紺の着物の背中に背負われ、揺られる。

黒の柔らかな髪に顔を擽られる。

細い肩を抱きしめる。

体は寒いのに、温まる、内側。



愛シク想ウ。




マタ逢イタイ。




あの雪女に。





目覚めた銀時は、男になっていた。知識としてあったものの、その変化は衝撃的だった。

その日の放課後。

いつものように十四郎が遊びに来た。

「……だからな…で…………なるんだよ」

宿題の解らない部分を説明してくれる十四郎に対し、どうしてか銀時はドキドキしていた。

華奢な体。白い肌。深い二重の長い睫。綺麗な声。漆黒の髪。

その全てに反応する自分がいる。

「……どうした?」
「………ぅ、ぁ…」

様子のおかしい銀時の顔を覗き込む十四郎。その顔の近さに驚いてギクリと銀時は体を震わせた。

「…!? …銀時…これ」
「…………」

ふと十四郎は銀時の体の変化に気が付いた。真っ赤に赤面し俯く銀時は悔しそうに唇を噛み締めた。




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