短編

□まさかのまさか
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この世には有り得ないことなんてない。
この時から、僕はそう思うようになった。

















ある日の平和な並盛町の、ある家で、ある部屋で、とても気まずい雰囲気が広がっていた。

「……………………。」

その部屋でこの雰囲気に合わない笑顔を浮かべている茶髪の童顔の少年。
彼の名は沢田綱吉。
普段はダメツナと呼ばれているが、そのあだ名に似合わない黒いオーラを放っていた。

「……………。」

その隣で、ムスっとした顔を浮かべている黒髪の少年。
彼の名は雲雀恭弥。
並盛の鬼風紀委員長と呼ばれている地元最強の少年。 
「……………。」

そんな二人に挟まれるようにして座っている朱と碧の綺麗なオッドアイの目をしている蒼髪の少年。
何故だかは知らないが、今日綱吉の家に呼ばれ、行って見たら雲雀がいたという状況だ。

「あのさ、」

この沈黙を破ったのは黒オーラ放出中の綱吉。

「骸と雲雀さん、この世に有り得ないことって有ると思う?」
「「はあ?」」

何を言い出すかと思えば、何を言ってるんだコイツは。

「わお!見事にハモったね。だから、この世界で有り得ないことって有ると思う?って聞いてんの。」

ニコッ。
黒い笑みを出す綱吉。
一方で、意味が全くわからない骸と雲雀。
とりあえず答えればいいのかと、顔を見合わせる二人。

「そりゃあいっぱいあるんじゃないんですか?(いまここで有り得ない光景が広がっているが。)」
「僕以外が秩序の並盛なんて有り得ない。」

答える二人。
それを見つめる黒い綱吉。
「ふーん…。骸は例えばどんな?」

(どんな!!??)
聞かれるとは思っていなかった骸は、思わず不意に頭に出て来た言葉を言ってしまった。


…それが、後々の事件を引き起こす種になるとは知らずに。

「どんなって…。………性転換とか?」

ニヤリ。
不気味に笑う綱吉。

「本当に有り得ないと思う?」

(なにが言いたいんだこの人は…)
そう思いつつ、答える骸。
「そりゃあ有り得ないですよ。ねぇ雲雀君?」
「うん。手術でもしない限り無理。」

(有り得たら僕が骸にやってるよ)
ちらりと呟いた。

「そ。じゃあ有り得さしてあげる。」
「「は?」」
「わあ!またハモった!凄いね二人共!」

と言いながら、懐から銃を取り出した。




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