王道物語寄り道〜
□え、ああ、そうですか。
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壱さんの天然ぷりに振り回されるのは
嫌いではないけれど、
いつも気疲れしてならない。
「キミ可愛いね」
「今晩、僕の部屋でご飯食べない?」
「そのまま泊まっていくといい」
「一緒にお風呂に入って寝ようか」
「壱さん、やめて下さい。
聴いてるこっちが色々と限界です」
迷い猫相手に話す壱さん。
あたりには怪しからん妄想により
撃沈した屍が鼻を押さえて悶えている。
当の本人は何のことだか分からない
と言った風にこちらを見ている。
ああ、もう....そんな壱さんが可愛いです。
「えー、だってこの子迷い込んじゃったから
誰かが世話してあげないと可哀想でしょ?」
「確かにそうですけど....」
壱さんの腕に抱かれてる黒猫が
したり顔でこちらを見ているような
気がしてならないのは気のせいだろうか。