「……なあ、お前って
俺のこと、好きだろ?」


唐突で率直な問いに
一瞬、頭が真っ白になる。

すぐには脳で処理ができず、
暫く流れたのは不思議な沈黙。


「……え、ええええ!?
な、なんで!?」


ようやく理解したものの
ぐるぐるといろんなことが
巡り巡ってわけがわからない。

耳がすごく、
熱くなったのがわかる。

どうしよう。どうしよう。
どうしよう。どうしよう。


「いや、なんとなくだけど。
でも好きだろ?」


なあ、と真っ直ぐに
私を見つめてくる雅弥くん。

いつの間に詰まったのか
近い距離がとてもやりづらい。


「…えと。すき、だよ。かz」

「…家族として、ってのはナシだかんな」


「………………」

「……お前、絶対それで
誤魔化すつもりだったろ。
お見通しだ、バーカ」


「……ち、ちがうもん!
好きの反対って
言おうとしたんだもん!」


逆ギレとでもいうのだろうか。
図星を幾度も突かれて
なんかもうすっかり
気持ちは拗ねてしまって。
ぷい、とそっぽを向く。


「……ふうん?」


雅弥くんは何かを
含んだような口調で答える。

……きっと振り返ったら
あの、にやりとした笑みを
浮かべているに違いない。

それがまた気に入らなくって、
私は小さな子供がするように
唇を軽く尖らせる。


「……なあ」


くいくい、と服の裾を
引っ張る雅弥くん。

無視していたのだけれども
根負けして、振り向くと

ちゅ、

軽く熱いものが、触れた。


「……………」

「……反対の、反対。だろ?」


余裕を含むいつもの俺様口調。
けれどもそれを告げる顔は
トマトよりも真っ赤で。

急上昇する体温を感じながら
雅弥くんは絶対私のことを
好きに違いない、なんて
なんとなく思った。


好きの反対、の反対
(素直じゃない私と
真っ直ぐすぎる君)




<お題提供>
確かに恋だった



ありがとうございます!!

clapでは『確かに恋だった』様の「甘い恋10題」をお借りして、5人兄弟+巧のSSを公開しています(`・ω・´)

ランダムで公開していますので、もしよろしければ他の兄弟のものもご覧ください☆☆



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