Chocolate Candy

素敵な誕生日の作り方
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完璧だと思っていた。
だから、こんな風に
言われるなんて
思ってもみなかった。


「あとは、何もないの?」


あとは、と言われても
考えていたことは
すべて出し切ったあとで。

頭が真っ白になった。


サプライズも成功したし、
プレゼントのネックレスも
すごく喜んでくれた。

恥ずかしかったけれど、
メッセージカードも
きちんとつけた。

ケーキや花は夜の
パーティーで大量に
贈られるだろうことは
彼女も知ってるだろう。

サプライズにしても
プレゼントにしても
すごく、喜んで
くれてるように見えた。

だから何が足りないのか
さっぱりわからなかった。


途方もなくなって、
瞬きを繰り返すと
彼女は悪戯っぽく笑った。


「いちばん欲しいものをまだもらってないの」


いちばん、欲しいもの?

誕生日に何が欲しいか
聞いたときは、
「雅弥のくれるもの
なら何でも嬉しい」と
曖昧に言葉を濁してたけど、
本当は欲しいものが
あったのだろうか。

思案に暮れていると
しゅるりと撫でるような
擽ったい感触が指を包む。


「これでも、わからない?」


ふと手を見ると
淡いピンク色のリボンが
俺の指にお行儀良く
結ばれている。

それでやっと理解した。



「誕生日おめでとう」



そう言って、
彼女にキスを落とした。


Happy Birthday!
(何よりも大切な君へ贈る)




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