Chocolate Candy

もしもの理由
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「もしも…とか、…だったらとか、そういう話は好きじゃない」



私が放った前言を遮るように雅季くんは呟く。



「…なんで?」

「それらの殆どは話し出したらキリがなくて非生産的だから。……何か話して意味があるの?」



雅季くんは手元の本から視線を外すことなく、極めて興味なさ気に答えた。
言われて考えてみれば、確かにそこに意味は見出だせない。

けれど、どうして人は「もしも…」の話を好むのだろう?
少しの思案の後、私は再び口を開いた。



「楽しいから、かな?」

「……は?」



雅季くんはようやく本から顔を上げて、眉を潜めた。
私へ注がれる視線はどこまでも訝しげだ。
呆れ、も混ざってる気もしなくもない。
それをへらりと気の抜けた笑みで受け流し、雅季くんに向き直す。



「例えば、もし雅季くんと旅行いけるなら、どこ行こうとか。
もし雅季くんと結婚して子供ができたら、どんな子になるのかな?とか。
……なんか考えてると幸せじゃない?」



だからかな?と笑うと、雅季くんは顔を赤らめて。



「…確かにそういうもしも、は悪くないかもね」


そういって、
私の額にキスを落とした


もしも=幸せの仮定未来



((…あと「構って」のサインなんだけど……これは恥ずかしくて絶対言えない!))

(…何?)

(な、なんでもない!)


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