web拍手お礼 Short Dream  Yuchun






「おなかすいた……」



私の到底女とは思えない声の低さに驚いたらしいユチョンは、めんどくせぇなーという感情を微塵も隠しもせずにこちらを振り返る。


机に突っ伏した私を見て何を思うのか。



髪の毛ぼさぼさだなぁ。

化粧適当だなぁ。

周囲気にせず半目とか女じゃないなぁ。



とか、いろいろ思われてるんだろう。


そのくらいの自覚はある。


今の自分の状況がどれほどひどいのかという自覚は。






「朝メシは?」


「食べる時間なかった……」


「なんで。」


「眠かったから。」


「……そういうの自業自得っていうんじゃないの?」





ユチョンの呆れ顔に笑顔なんてどこにも混じってなくて、まさに本気で呆れられている。


普段女性相手には貼り付けたような笑顔を振りまいて愛想よくしてるのに。

私相手だとこうも違うんだなー。


これは心を許されているととるか、見放されているととるか。




「とりあえず昼メシの時間までがんばって粘れ。」


「ん……あれ、アンタ外回りなの?」


「そうだよ。」




背広を腕に引っ掛けて軽く私に手を振るユチョン。


そのまま遠のいていく背中を眺めていようかとも思ったけど、私にも仕事がある。

昼食の時間までまだ結構あるけど……やるっきゃない。


デスクからファイルを取り出して、USBに必要データを移して、取引先にメールを送信して。

別フロアにいる部長のところへいざ出陣!



と、はりきった矢先。




「これ。」



なぜか出て行ったはずのユチョンが、ビニール袋を提げて私の目の前にいた。



「ん?」


「デスクで軽く食えるもの、下のコンビニで買ってきた。……いらない?」


「え、いや、ありがたい!いただきます。でも外回りなのに、遅れちゃわない?」


「オレもタバコ買いたかったし、そのついで。……早く食ってそのひどい顔直したほうがいいよ。」




じゃ。


そう言ってユチョンは再び私に背を向けていってしまった。




去り際見せた、苦笑いした顔。


貼り付けでもなんでもなくて、きっとあれは自然に出た表情。



なんか、調子狂うなー。


なんて思いつつもうれしくて、お礼に今夜飲みにでも誘ってみようかな、と私の足取りは軽くなっていた。





---------------
2016.6.23

会社員で同僚設定……でした。


いつもありがとうございます!がんばります!



[TOPへ]
[カスタマイズ]

©フォレストページ