小夜曲

□極限の風紀委員見習い
2ページ/8ページ


 バキッ!



「ワオ、おもしろいね、君」

「…誰?」

「…君、並盛の子かい?」

「引っ越してきたの、昨日」

「ふぅん。並盛中に通うのかい?」

「…そうだけど、誰?」

「僕かい? 並盛町の風紀委員長だよ」




死ぬ気で極限風紀委員





 これが私の、並盛で一番最初の印象深い記憶。

 『金貸して』とベタな不良に云われたものだから、なけなしの小遣いを出してなるものかっ。と思いっきり、習ってきた護身術+チンピラ正拳突きをくらわせた時の記憶。

 …後で知ったけど、この風紀委員長。物凄い有名人で物凄い不良のトップでとにかく物凄い人だった。

 ボコボコにされてもおかしくなかったのに、助かったのは物凄く運の良い事らしい。



「…あの、委員長……」

「なに?」

「この学ラン、大きいし、目立つから脱ぎたいんですけど…」

「ちょうどいいサイズが無かったし…君を咬み殺して良いなら脱ぎなよ」

「今、凄く学ランが好きになりました」

「そう。良かったね」



 そして私は今、何故か風紀委員になった。この委員長、雲雀 恭弥曰く…、



「ねぇ、今、僕を呼んだかい?」

「いいえ、雲雀




 ………このトンファーを構える恐怖の雲雀曰く、『そこらの奴より役立ちそうだから風紀委員になりなよ。鉄砲玉ぐらいにはしてあげる』との事。

 どこのチンピラのスカウトだ、と丁重に断った筈なのに、

『へぇ。そんなに咬み殺してほしいの』

『これから宜しくお願い致します』

 躯が勝手に頭下げてた。

 なんだ、鉄砲玉って。

 そうは思っても、すっかり恐怖を擦り付けられた躯は、もう服従精神まっしぐら。



「雲雀。見回り行ってきます」

「うん。サボらないでね」



 今や雲雀 恭弥に…、



「今、何か…呼んだかい?」

「いえ、何も」



 雲雀に従うしかない。怖いし。

 転入早々、本当に運がない。




さて、さっさと逃げよう
パトロールと云う名の逃走

次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ