小夜曲
□極限の風紀委員見習い
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バキッ!
「ワオ、おもしろいね、君」
「…誰?」
「…君、並盛の子かい?」
「引っ越してきたの、昨日」
「ふぅん。並盛中に通うのかい?」
「…そうだけど、誰?」
「僕かい? 並盛町の風紀委員長だよ」
死ぬ気で極限風紀委員
これが私の、並盛で一番最初の印象深い記憶。
『金貸して』とベタな不良に云われたものだから、なけなしの小遣いを出してなるものかっ。と思いっきり、習ってきた護身術+チンピラ正拳突きをくらわせた時の記憶。
…後で知ったけど、この風紀委員長。物凄い有名人で物凄い不良のトップでとにかく物凄い人だった。
ボコボコにされてもおかしくなかったのに、助かったのは物凄く運の良い事らしい。
「…あの、委員長……」
「なに?」
「この学ラン、大きいし、目立つから脱ぎたいんですけど…」
「ちょうどいいサイズが無かったし…君を咬み殺して良いなら脱ぎなよ」
「今、凄く学ランが好きになりました」
「そう。良かったね」
そして私は今、何故か風紀委員になった。この委員長、雲雀 恭弥曰く…、
「ねぇ、今、僕を呼んだかい?」
「いいえ、雲雀様」
………このトンファーを構える恐怖の雲雀様曰く、『そこらの奴より役立ちそうだから風紀委員になりなよ。鉄砲玉ぐらいにはしてあげる』との事。
どこのチンピラのスカウトだ、と丁重に断った筈なのに、
『へぇ。そんなに咬み殺してほしいの』
『これから宜しくお願い致します』
躯が勝手に頭下げてた。
なんだ、鉄砲玉って。
そうは思っても、すっかり恐怖を擦り付けられた躯は、もう服従精神まっしぐら。
「雲雀様。見回り行ってきます」
「うん。サボらないでね」
今や雲雀 恭弥に…、
「今、何か…呼んだかい?」
「いえ、何も」
雲雀様に従うしかない。怖いし。
転入早々、本当に運がない。
さて、さっさと逃げよう
パトロールと云う名の逃走