★ygo

□可愛い詐欺師に騙された
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兎は寂しいと死んでしまうらしい。
 
それは困る。
 
目を真っ赤にしたアイツはまるで兎にしか見えなかった。
 
放って置いたら死んでしまうのではないかと、思えば思うだけアイツが兎にしか見えなくなっていた。
 
本当に放って置いたら死ぬかもしれない。
 
気にはなるが、本当に死なれたら困る。
 
俺はアイツが目を真っ赤にしている理由が分からなかった。
 
俺はなんて声を掛けたらいいのかも分からない。
 
だから、ただ抱き締める事しかしてやれなかった。
 
 
アイツは理由を話してくれるだろうか。
 
アイツは泣き止んでくれるだろうか。
 
果たして俺は、
 
 
兎のようなアイツを抱き締めて正解だったのだろうか。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
兎は寂しいと死んでしまうらしい。
 
私が知っていたのと違っていたから聞いた時には少し驚いた。
 
私が知っていた兎は、
 
 
寂しいと死んだ"ふり"をするらしい。
 
初めて聞いた時はかわいい顔して悪どいんだなと、思ったけど気持ちは分からなくもない。
 
…兎と同じ気持ちなのかは知らないけれど。
 
兎みたいにかわいい女の子だったら彼は好きになってくれていただろうか。
 
兎みたいに寂しいと表せたら彼は私の側にいてくれていただろうか。
 
彼に下らないと言われてしまいそうな事を思えば思うほど、
 
いつの間にか、私の目は兎みたいに真っ赤になって腫れていた。
 
 
そんな私を彼は抱き締めてくれた。
 
彼は何を思ったのだろうか…
 
私を寂しい兎とでも思ったのだろうか…
 
でも、その兎は"ふり"なんだよ。
 
寂しくも無いのに、寂しい"ふり"をする兎と私はやっぱり同じ気持ちを持っているのかもしれない。
 
彼は哀れだ。
 
兎に騙されて哀れだ。
 
でももしかしたら、兎に騙されているのは案外私なのかもしれない。
 
 
でもね私、彼がいないと寂しくて死んでしまいそうなの。
 
 
 
可愛い詐欺師に騙された
 
 
((ねぇ、兎に騙されたのは誰?))
 
 
END
 
 
 
アトガキ
お相手の名前すら呼んで無いという…でもクロウ夢だと言い張る。
 
内容としては、一応すれ違いの2人です。
 
とりあえず、兎は寂しいと死んでしまうのか、寂しいと死んだ"ふり"をするのか気になったのがきっかけで生まれた文でした。
 
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