★ygo

□特別が欲しい僕ら
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「遊城くん、遊城くん!」
 
 
いつも見慣れている、いや、いつも見ていて飽きない彼の後ろ姿を見つけた私は、彼を呼んだ。
でも、彼は気付かない。
 
 
「遊城くん、てばっ!!」
 
「わっ!あっ、俺?」
 
 
やっと私に気付いた彼は、あたふたと面白い反応をしてくれた。
やっぱり彼は、見ていて飽きないと思う。
 
 
「君以外に、私の知ってる遊城くんはいないよ」
 
「そっか、てか『遊城』って呼ばれてもピンと来ないんだよなー」
 
「じゃあ、十代くん?」
 
 
そう呼ぶと、さっきまでの顔とは、どこか違う笑みになった。
少し意地悪そうな、いたずらっ子のようなそんな顔。
 
 
「『くん』いらない」
 
「なら、十代?」
 
「そっちの方が、しっくりくるな、やっぱ」
 
 
うんうんと、彼は頷いているけど、私は何だかすっきりしない。
 
 
「…それじゃあ、皆と同じなんだもん」
 
 
遊城十代という名前の彼は、皆から『十代』って呼ばれている。
だから『遊城』の方を呼ぶ人の方が、断然少ない。
 
 
「同じは嫌なのか?」
 
「私だけの呼び方が欲しいよ」
 
「何で」
 
 
あぁ、彼のこの意地悪な顔…楽しんでるなってすぐ分かった。
 
 
「じゃあ、十代は何で私に『十代』って呼ばれたいの?」
 
「好きなヤツには名前で呼ばれたいから、簡単だろ」
 
 
 
特別が欲しい僕ら
 
 
(好きだから、特別な呼び方をしたいんだよ)
 
 
END
 
お相手はすーちゃんでは無い。
 
十代さんが欲しいのは特別な関係です。
 
 
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