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□アイノカタチ
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ふと…恋は死ぬ準備なのだと誰かが言っていたのを思い出した。
人間は子孫を残すことで、文明を発達させ今の世まで生き残ってきた。
それは、これからも変わらないだろう。
恋をして、子を作り、子に託して、人は死ぬ。
恋は、人間が世に残るためにはじめにする事。
いや…恋なんて言葉は、キレイなキレイな言い訳なのかもしれない。
「…そう、思わない?」
隣で、トレードマークでもある麦わら帽子を顔に被せながら仰向けに寝転がっている彼に問い掛けてみた。
「…よく分かんねェ」
「そう」
右手で帽子を取りながら、答えてくれた彼と私は付き合っている。
自慢じゃないけど相思相愛ってやつ(しかもクルー公認の)。
でも、この関係を恋だの愛だのと言い切るのは、何だか嫌だった。
だって、人間が残るためにするのが"恋"。そんな現実から目を逸らすのが"愛"と言う言い訳なのだから。
「私って"ひねくれ者"だね」
現に今、隣の彼に"恋"をして、彼を"愛"しているのに。
「…それでも好きだからな」
やっぱり、ルフィは優しいな。
「ん、ありがと…私も大好きだよ」
『(私達の)愛の形(はハートマークじゃないとしても)』
END
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