NOVEL3

□貸し切り映画館とメール
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*ちょっとだけ未来
*阿部+三橋


三橋がメールをちゃんと返すようになった。

件名に「見たら返信」と書いてたのはいつのことだったか。水谷に「お前あれはねーよ」と言われたが、あの頃はああでもしないと返事が来なかったのだから仕方がない。


ちゃんとメールが返ってくるようになったのは1年の夏、ちょうど夏大が終わって怪我をした俺を田島や栄口と一緒に見舞いに来た後ぐらいだった。
あの時ちゃんと三橋と気持ちが通じ合ったんだと思う。そういえば初めて笑ったところを見たのもあの時だ。だいたいもう4ヶ月近くバッテリー組んでて笑うところを見たことないとは何事か。

まあとりあえずあの頃からちょっとずつ返事が来るようになった。

俺もそんなにメールする方じゃないし絵文字も顔文字も疎かだから、三橋のメールが例え「了解」の一言だけでも別段気にしなかった。
メールを続けたいわけじゃなくて、ちゃんと見たのかどうかの確認が欲しかったのだ。
それに4ヶ月も費やすとは…俺のコミュニケーション能力も三橋をばかにできない。


三橋のメールはあいつに似合ってよくわからない不思議な文面だった。

三橋 廉
sub Re:
本文 (^O^)/


なんて顔文字だけで来たり猫の絵文字だけで来たり。1番驚いたのが本文なしの空メールだった時だ。その時はこの域に達したか…と妙に感心したものだ。


とりあえず見たことがちゃんとわかればいいし、これはこれでおもしろいので特に何も言わなかった。


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