NOVEL

□シュガーフェイス
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水谷はふんわりと笑う。

まるで砂糖みたいな甘ったるい香りがしそうだ。



それは彼の性格故か、それとも整った顔立ちからか、はたまた両方かわからないけど。

色素の明るい髪色も影響してるのかもしれない。



「あいつ、まただらしない顔で笑ってんな」

泉の台詞で我にかえる。

「だらしない?」
「ん、だらしない、あほ丸だしな顔」

少し先で三橋と田島と話している水谷をじっと見る。


だらしない、だらしない、
あほ、あほ、あほ…


うーん…そうかな

「俺らはだらしなくてあほな顔だと思うけど」

自分は別にだらしないとは思わないけど、とは言わず泉の言葉を聞く。

「あれにきゅーんと来るやつもいるんだぜ」
「き…きゅーん?」
「そ、おとといクラスの女子に水谷君のこと教えてって言われちゃって」

たいして興味もなさそうに泉は続ける。

「まぁ適当に言っといたけど、あいつの笑顔にきゅーんとするって言ってたんだよなー」


へぇ…つまりその子は水谷が好きってこと?

きゅーん…か


するとふっとこっちを向いた水谷と目があった。

そしてあいつはふんわり笑った。


(う、わ)


「へらへらしてんじゃねーぞ、水谷」
「うっわ、泉ひどっ」


(なに、おれちょっと動揺してんの)


「どしたの栄口?」

水谷にそう言われてももはや直視なんてできなくて、俯いて
「なんでもない」
と言ってそのままその場から逃げ出した。


顔が熱い気がする。


(うそ、まじで)


思考回路がぐるぐるしている。


あのまるで砂糖みたいな甘ったるい香りのしそうだと思っていた笑顔は、



毒入りだったのかもしれない。





水→栄より栄→水の方が書きやすいのは私も水谷が大好きだからでしょうか。


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