NOVEL
□呼んで
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ぬるいエロです。
ご注意を!
感覚的なものなんだけど。
「水谷ー」
花井は俺を漢字で呼ぶ。
というか花井だけじゃなくて大概の人は俺を漢字で呼ぶ。
阿部も泉も他のみんなも。
「ミズタニー!!」
あ、でも田島はカタカナで呼んでくるなぁ。
こんな話を前に花井にしたら水谷ワールドだと言われた。
漢字とかカタカナとか普通はそんなこと考えないって。
そうなのかなぁ。
俺の大好きな人、栄口も例外ではなくて。
「水谷」
と、俺を漢字で呼ぶ。
けど、
そんな栄口が俺をひらがなで呼ぶ瞬間ってのがあって。
呼んで
汗とか唾液とかそれ以外がいろいろ混じってぬるりとする。
普通なら不快なはずだけど、それすら愛しい。
息が上がる、酸素が足りない。二人分の荒い息が重なる。
自分の下にいる俯いた愛しい人の顔を覗き込むと、目に涙をいっぱい溜めて頬を真っ赤にさせている。
肩で息をして途切れ、途切れを俺を呼ぶ。
「み、ずた、に」
ほら、ひらがなで呼ばれた。
きっと無意識で名前とか呼んでるところが、
なんというか、うん、えっと、
た、たまんないんだよね。
ひらがな効果おそるべし。
◇◇◇
ベッドでゴロゴロしながらまどろむ。
まだ着替える気になれないなー。
「栄口ってさぁー普段は俺を漢字で呼ぶけどさ、こういう時はひらがなで呼ぶよね」
こういう時?
意味がわからないという風に聞き返してくる。
「えー具体的に言わせるの?」
語尾にハートをつけてみた。
何のことかわかった栄口にもちろんドカッと腹部を殴られた。
「水谷のばかっ!」
あ、今の漢字だ。
なんて思ってるって言ったらまた怒られるかなぁ。
「栄口すきー」
「殴られてもそう言うの?」
栄口は呆れたように少し眉をしかめた。
もっともーっと名前呼んで。
俺も栄口のこといっぱい呼ぶからさ。
「恥ずかしいやつ」
ふわりと栄口は笑った。
でも、ひらがなで呼ぶのは俺だけにしてよね。
そういうとまたばしっと叩かれた。
えろくも何ともないですね。