GX一般向け小説
□アニキは一人
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「ヨハン、ぼくと」
言いかけた時、
「見つけたー!ヨハーン!!」
叫び声に遮られた。一直線にヨハンめがけて走ってくるのは、ぼくが「唯一」アニキと慕う遊城十代だ。ふん「ヨハン、ヨハン」ってやっぱりぼくなんか眼中にないんだ。
「今日は新しいパックの発売日だろ、一緒に購買行こうぜ!」
「十代、お前失礼だぞ、俺は今翔と話してるんだ!」
ヨハンはアニキを睨んで一喝した。ぼくにはとても出来ない。
「なんだ翔、いたのか?」
一気に士気が萎えた。「いたのか?」はないだろ、アニキ。眼中にないとは思ったけど、存在すら忘れられていたなんて。
「じゃ話終わるまで待つからさ」
「そうしてくれ。翔、さっきの続きだけど、何だって?」
「いや、何でもないッス」
こんな気分じゃとてもデュエルなんか出来そうにない。
「おい、翔、本当にいいのか?」
「うん、じゃあね」
ぼくは二人に笑いかけると走り出した。どこに行くかなんて考えてなかった。ただ、いたたまれなくて、この場にいたくなくて。二人の視界に入らないところに行きたいと思った。
すごく、惨めだった。
かっ、かわいそうな翔。十代、ちゃんと責任とれよ!
3期前半の、まだ平和なDA。デュエルエナジーも気付かれない程度にしか抜かれていないということにしておこう