GX一般向け小説

□つかまえる
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そのとき、部屋の電話が鳴った。

「あ、いいよ。俺出る」

カールが受話器を取る。

「はい、ヨハーン、電話だぜ、オフィスから」

礼を言って受話器を受け取る。電話は校長秘書のマリアからだった。

「はい、ヨハンです。」
「ヨハン・アンデルセン。I2社のペガサス会長が、あなたに会いたいってお見えになってるの。すぐに応接室に来て。」

ペガサス会長だってー?!危うくヨハンは大声をだすところだった。
I2社のペガサス会長といえばDMの生みの親であり、彼自身も初代デュエルキング武藤遊戯と死闘を繰り広げたこともある伝説的なデュエリストである。

そしてヨハンにとっては、今や彼のかけがえのない家族である宝玉獣たちとヨハンを引き合わせてくれた大恩人でもあり、まさに憧れの存在なのだ。

「わかりました、すぐ行きます。」

短く告げるとヨハンは部屋を飛び出した。

応接室の前で呼吸を整える。何度深呼吸しても胸の高鳴りは一向におさまらないが、意を決してドアをノックする。

「ヨハンです。」
「入りなさい」

校長の声に従いドアを開けると

「はーい、アンデルセン・ボーイお久しぶりデース」

彼に声をかけてきたプラチナ・ブロンドの紳士、その人こそI2社総帥ペガサス会長であった。

「ご無沙汰しています、ペガサス会長」
「そう緊張することはありまセーン」
「座りなさい、アンデルセン」
「はい」

校長に促されソファに腰掛ける。

「Youに来てもらったのは他でもありまセーン。meはあなたをスカウトに来たのデース。youには是非わが社の契約デュエリストになって欲しいのデース。」
「ええっ!?あ、すみません」

思わず大声を出してしまった。

I2社の契約デュエリストといえばプロの中でも一握りの超一流のデュエリストしかなれない、いわばDMのF1とも言うべきものなのだ。

普通は何年か地域リーグで力をつけ、I2社のテストデュエルを受けてやっとなれるものなのであり、まだ学生であるヨハンがいきなり契約デュエリストになるなど異例中の異例だ。

「驚くのも無理はありまセーン、しかしmeは前例など気にしまセーン。youは充分にわが社の契約デュエリストになれる実力の持ち主なのデース。強い者はより強い者の中でこそ磨かれるべきだ、meはそう思いマース。」
「あの、はい、光栄に思います。」
「ご存知かと思いますが、わが社の契約デュエリストは基本的にfreeデース。条件は一つだけ、月に二回以上世界中どこかのI2かKC主催の公式デュエルに出て、よい成績をおさめること、それだけデース。もちろん、あまりに成績が悪いと契約解除もありえマース。まあ、youに限ってそんなことはないと私は確信していマース。」

夢みたいな話だ、フリーなら精霊を求めて世界中どこへでも行ける。デュエルもできる、それも相手は憧れていた超一流のデュエリストばかりだ。
ヨハンの心は決まった。

「はい、喜んでお受けします。」





ペガサス会長登場でヨハンの運命の歯車は大きく回り始めます。
この後、「再会」につながっていくわけですが。。
でも、書きながら思いました。
「ペガサス会長来るならもう少し早く来いよ」
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