GX一般向け小説

□再会
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出発してからしばらくは割と順調だった。ちょうど春休みに入る時だったこともあり、大抵どこかデュエル大会が開かれていたし、十代の実力をもってすれば、どの大会でも必ず優勝し、少ないながらも賞金を手にすることができた。だが、ゴールデンウィークが終わると大会の数が激減した。

そもそも優勝賞金の大きな公式デュエル大会は最低二週間前からエントリーしなければならない。しかし、あちこちをふらふらと渡り歩いている十代は飛び入り参加OKの小規模な大会にしか参加することが出来ず、そういう大会で出る賞金はせいぜい金一封、一度食事に行ったら綺麗になくなってしまうくらいの金額でしかない。

プロの大会にいたっては、どこかのプロチームに所属していなければ参加資格さえ与えられない。デュエリストというのはそれで生きていこうと思うとかなり厳しいのだ。

ただ、十代は生来どこかに所属するというのが苦手な性分である。自由で楽しいデュエルがしたいのだ。
しかし、食べていけなくては自由もなにもあったものではない。十代は改めて現実の厳しさを噛み締める羽目となった。

本当にこれからどうしよう、半ば途方に暮れながら十代はもう一度デュエル大会のビラを見やった。きれいな緑色の紙に”来たれ!未来のデュエルキング!!”と大書きしてある。だが十代はその文面にはさしたる興味が持てず、印刷してある紙のほうに心ひかれた。緑にわずかに青が混ざったような美しい色合い、確かマラカイトグリーンっていうんだっけ。

十代はこんな色の瞳をした少年を知っている。ともに闇と戦い、死線を潜り抜けてきた最も信頼できる親友、ヨハン・アンデルセン。
十代と同じようにカードの精霊が見える稀少な人物で、世界でたった一つしかない宝玉獣デッキを操り、美しい宝玉獣たちと素晴らしいデュエルを繰り広げていた。

「ヨハン、どうしてっかな」

多分、ヨハンの所属するDAアークティック校もそろそろ卒業の時期を迎えているころだろう。

「俺は精霊と人間の架け橋になりたい、それが俺の夢なんだ。」

美しい緑の瞳を輝かせ、自らの夢を語ってくれたっけ。

「俺は、俺は何をしたいんだろう」

自分に問いかけてみるが答えは出てこない。十代は自分の夢を見失いかけていた。

「ヨハンだったら、どう言うだろう。」

誰ともなしにそう呟いた時だった。

”クリクリーッ!クリクリーッ!”
十代の相棒、カードの精霊ハネクリボーが突然騒ぎだした。

「どうしたんだよ、ハネクリボー。何か珍しいものでも見つけたのか?」
”クリクリーッ!クリクリーッ!!」
「ちょっ、ちょっと落ち着けって何をそんなに興奮してんだよ」

その時、
”るびーっ!”

ものすごく聞き覚えのある声がした。人間の声ではない、精霊の声。そしてそれは紛れもなくヨハンの家族の一員、ルビー・カーバンクルの声に他ならなかった。






や、やっとルビーでた!ここまで自分で書いててもつまんなくてしんどかったよ!!
でも、お待たせしました。ついにあの人が登場します!
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