GX一般向け小説

□同窓会・あるいは遊城十代の災難
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同窓会・あるいは遊城十代の災難 その2

Part4

その後、インタビューを受け、控室に戻ってきても、まだ俺の興奮はおさまらなかった。

「本当、今日凄かったよな、ヨハン。俺デュエルフィールドでレインボードラゴン見たの初めてだ。すげーきれいでかっこよかった。」
「俺も初めてだ。今までのデュエルではレインボードラゴンを召喚する前に勝負がついていたからな、宝玉獣は7体きりで召喚条件は厳しいし。でも、本当はちょっとあせってたぜ。サファイア・ペガサスがマジック・トラップゾーンにいたから”レア・バリュー”発動できたわけだし。ツイてたな。」
「まあ、それも含めてヨハンはすげえってこどだろ、あそこでトパーズ・タイガー引いただけでも、相手はかなりビビッてたしさ。」
「そこまで褒められると照れるけど」

その時、ドアが勢いよく開く音がした、と思うと、

「十代さまー!」

と、聞き覚えのある声がした。俺は今、ドアに背を向けてるから姿は見えないが、この声は

「あのさ、ヨハン。今レイの声がしたと思ったけど、空耳だよな」
「違うと思うぜ、ちゃんと姿も見えてるし」

ヨハンの方は顔をドアの方に向けている。
おい、なんでニヤニヤしてんだよ!

「十代、あいたかったー!!」

次の瞬間には、しっかりレイに抱きつかれていた。

「わかった、わかったからくっつくな!」

レイはかわいい後輩だが、やたらと抱きついてくるのは勘弁してほしい。

「もー、十代ったら、冷たい!」

と、その時、新たな声がした。

「レイちゃん、ずるいッスよ。自分ばっかり先に行って」
「そうそう、抜け駆けは禁止ザウルス」

「翔!、剣山!」

「アニキ、優勝おめでとう。」

声を揃えて言われると、嬉しいけど、ちょっと照れる。

「二人とも来てたのか」
「来てたのか、じゃないッスよ。全然連絡くれないで。」
「そうだドン。今日だってヨハンがチケット送ってくれなきゃ、来られなかったザウルス」
「うん、本当にありがとう、ヨハン」

え?思わずヨハンの方を振り返る。

「どうせお前のことだから、どこにも連絡してないだろうと思ってさ、DAの剣山あてにチケット送っといたんだ。」

言いながらヨハンは立ち上がり、帰り支度を始めた。

「あれっ?どっか行くのか?」
「久しぶりなんだからゆっくり話せよ、俺は席外すから」
「えー、今日の対戦のこと、もっと話したかったのに」
「それは帰ってから聞くよ、じゃあな」

そう言って、ヨハンは出て行ってしまった。と、すかさず、という感じで、またレイがくっついてきた。

「ヨハンが気を利かせてくれたのよ、私達のために」
「わたしたちってなんだよ、レイちゃん!」
「さっきから馴れ馴れし過ぎザウルス!」

また始まった、どうしてこの3人は集まると俺の取り合いを始めるんだ。俺は平等に接してるつもりだぞ!

「お前らもう少し仲良く出来ないのか、言っとくけど、俺は3人の中で誰が1番とかないからな!」

そう、みんな平等に仲間だと思ってるんだからケンカするなよ、俺はそう言いたかったんだ。

懐かしいDAメンバー集合!やってみました。サンダーは遠征中で来られませんでした。明日香さんはアメリカで忙しい日々を送っていることと思います。そのうちみんな出してあげたいな。

 Part5

なのに

「だったらヨハンはどうなのさ!」

と、翔が妙なところから反撃してきた。

「何で?今はヨハンは関係ないだろ!」
「いや、大ありザウルス」

何だよ剣山、お前まで。

「アニキはヨハンがいると俺達のことは二の次って感じになるドン。俺は入学以来ずっとアニキを尊敬してるのに」
「何言ってるんだよ、剣山くん!それを言うなら僕は丸3年、アニキと一緒だったんだよ。それなのに、1年も一緒にいなかったヨハンといつの間にかタッグ組んでるなんて」
「いや、それは、ペガサス会長に頼まれたとかで、スウェーデンからヨハンが俺を探しに来てくれて」
「スウェーデン?!そんな遠くから」
「よっぽどアニキに執着してるザウルス」
「だから、別にそうじゃなくて」

そういえばレイが珍しく黙ってるなと思ってレイの方を見ると、なぜかものすごく怖い顔をしてこっちを睨んでいる。なんだよ、俺が何したっていうんだ!

「私、こんな記事信じてなかったけど」

そう言うと、レイはバッグから雑誌を取り出した。

「ティーンズ・ライフ?」

確かアイドルとかファッションの情報が載ってる、中高生の女子向けの雑誌だ。俺は勿論読んだことないけど。

「ここよ、ここ!」

レイはページをめくると雑誌を目の前に突きつけた。えっ?!

「俺と、ヨハン?」

何でこんな雑誌に俺達の写真が載ってるんだ。

「レイ、俺とヨハンはデュエリストでアイドルじゃないぞ」
「もー、わかってないな、十代は。最近のデュエリストって、アイドル並みの人気なんだよ。特にエドなんてスゴいんだから、私の友達も写真集やらDVDやらいっぱい持ってるんだよ!もちろん、私は十代ひとすじだけどね!」
「ふーん」

そういえばエドってきれいな顔してたよな、男の顔になんか興味ないけど。

「ふーん、じゃなくて、ちゃんと記事読んでみて」
「あ、ああ」

俺はレイから雑誌を受け取り、記事を読み始めた。

二人がタッグ組んだら世界中の女の子が彼らの虜になるだろうなあ。

 Part6

デュエル界に新星登場!

今月デビューしたばかりの新人デュエリストがデュエル界に新風を巻き起こしている。
それは、遊城十代とヨハン・アンデルセン。二人はともに18歳だが史上最年少でI2社の契約デュエリストになったことで話題を呼んでいる。
特に東洋人と西洋人の美少年コンビということで、今後世界的な人気が出るという可能性大!なので要チェック!!
ヨハンはスウェーデン人だが、日本の高校に留学していたため日本語はペラペラ。読むほうも問題ないそうなので、ファンレターは日本語でOK。
あて先はこちら!

*ヒミツのウワサ
ところで、この二人は学生時代からの知り合いなのだが、当時から異常に仲が良く、これだけのルックスを持ちながら、彼女らしい女性もいなかったため、ゲイなのではないか、とのウワサも。
ほんとのところはナゾだけど、それはそれでオイシイ??かも。

なんだよ、この記事は。ひとこともデュエルのことなんて書いてないぞ。
美少年とか何とか、別に顔でデュエルするわけじゃあるまいし、どうだっていいじゃないか。何が要チェックだ、バカバカしい!

「これがどうしたっていうんだよ!」
「どうしたじゃないよ!十代、こんな記事ウソだよね、ヨハンとは仲がいいだけで、ゲイなんかじゃないよね!」

そんなこと言われてもゲイって何だかわからないぞ!でも、今「ゲイってなんだ?」とか言ったらレイに殴られそうな気がするし。

「さ、さあ、どうなのかな?」

とりあえず適当に誤魔化しておこう、と思ってこう答えたのがどうも相当マズかったようで、一瞬でレイの顔色が変わった。

「そんな!こんなの絶対ウソだと思ってたのに!」

いや、俺ひとことも「そうだ」とは言ってないけど。

「ええっー!!そうだったの?!」
「そんな関係だったなんてショックだドン!」

翔と剣山まで真っ青になってるんだけど。
そんなってどんな関係だよ!でも、今更ますます聞きづらい雰囲気だし。

「私、負けない!ぜったいあきらめないから!!もっといい女になって十代の目を覚まさせてあげる!!」

レイはそう言うと俺の手から雑誌を引ったくり、さっさと出ていってしまった。
なんだよ、何怒ってるんだよ。

「じゃ、じゃあ僕たちもこれで」
「アニキ、また来るザウルス」

レイの後を追って、翔と剣山もあわてて帰ってしまい、俺はひとりで控室にとり残された。
一体、俺が何したっていうんだよ!
ヨハンがいればこんなことにならなかったのかな。

でも、本当、ゲイって何なんだ?

                     END

確かにヨハンがいればこんなことにはならなかったでしょう。気をきかせたつもりが思い切り裏目に。十代を野放しにするのは危険です!
この話は「若きアンデルセンの悩み」につながります。まだお読みでない方はぜひそちらもどうぞ。ヨハンが大層気の毒ですが、ちゃんと十代をみておかないからこういうことになるんだよ
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