GX女性向小説
□エビフライどりーむ
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エビフライどりーむ
I’d Like to Have Fried Prawns
「十代―!」
レッド寮の薄いドア越しに、ヨハンは十代を呼んだ。
だが、答えが返ってこない。
「変だな、今日は海老フライの日だから食べに来い、って自分で呼んどいて」
「十代、入るぞ」
そういうとヨハンはドアを開けた。
すると、そこには、床に散らばるカードの中央でぐっすり寝入っている十代の姿。
「しょうがない奴だな」
ヨハンはブーツを脱いで部屋に上がった。
「もうすぐ、夕飯だぞ、起きろ」
そういったヨハンだったが。
十代の寝姿にどきりとする。
おりしも、下の食堂からはエビフライを揚げるいい香りが漂ってきた。
その香りが夢に反映されているのだろうか、十代はゆっくりと口を動かしている。そして、わずかに開いている口元からは赤い舌が覗いていて。
はっきり言って非常にそそられる。
「エビフライより、こっちのほうがうまそうだ」
思わずヨハンは呟いた。そっと十代に近づき、唇を重ねる。すると、無意識に、だろうが、十代は舌を絡めてきた。(十代、それ、反則)
目をさまさないのをいいことに、ヨハンが十代の唇を堪能していると。
「ん?」
いきなり十代が目を開いた。
(やばっ!)
「おはよう十代、メシの時間だぜ」
「わかった。って、変な起こし方すんな、ヨハン」
(起きないほうがよかったんだが)とひそかにヨハンは思った。
「十代」
「何だ?」
「俺、メシの前に十代が食べたい」
「わか、ばっ、ヨハン何言い出すんだ」
「食前の運動に」
「いらん、俺は十分ハラ減ってる、運動の必要はない!」
「そんなこと言わずに付き合えよ」
言いながらヨハンは十代をしっかりとヨハンを抱きしめてきた。
「エビフライが冷める」
「ちょうどいいな、俺猫舌なんだ」
「俺の最大の楽しみの邪魔すんな!」
「まあまあ、トメさんのエビフライは冷めてもうまいって、こないだ十代言ってただろ!」
ヨハンは決してへこたれない。
「俺はお前と違って熱いほうが好みなんだ!」
「へえええ、熱いのが好み」
「そうだ!」
「じゃあ、もっと熱くしてやるぜ」
「ヨハンのばかーっ!」
その日、十代は結局、楽しみにしていた月イチのエビフライを食べられなかった。
「おかしいねえ、十代ちゃん。具合でも悪いのかねえ」
「来ない奴に食べる資格はない」
かくして、十代の大事なエビフライはすべてサンダーの腹に収まったのだった。
おしまい
アホらしい文ですいません。
いえ、しんどい展開になると息抜きしたくなるんで、つい。
ちなみにヨハンは欧州人なんで、猫舌なのはほんとだと思います。