GX女性向小説

□冬の日の帰り道
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女性向小説・冬の日の帰り道

     

久しぶりの休日、十代とヨハンはちょっとしたデートを楽しんだ。

映画を観て、食事して、ウィンドウ・ショッピング。そんななんでもないことも、ヨハンと一緒だと、とても楽しい。

だけど。

家へ帰るため、並木道を歩きながら、十代は少し不満だった。

普通に歩いていると、歩幅の関係でヨハンの方が前を歩くことになってしまう。

だからいつもはヨハンが十代の歩幅に合わせてくれている。

今日もさっきまでそうだったのに、予定を終了して帰ることになったとたんにヨハンは普通に歩き出してしまった。

十代はなんとかヨハンに合わせてきたのだが、少し疲れてきた。
ためしに立ち止まってみたがヨハンは気付かない。ちょっと悲しくなってきた。

「ヨハン!」

ようやく気付いたヨハンが立ち止まる。十代はヨハンのもとに駆け寄ると、その背に後ろから抱きついた。

「どうした、十代?」
「ヨハン、歩くの速い」

ぎゅっとしがみつくと、ヨハンの手がそっと十代の手に重ねられた。

「あ、ごめん。ちょっと考え事してて」

考え事か、俺のこと忘れるほど、何考えてたんだろう。少し、さびしい。
十代はいっそう強くヨハンにしがみついた。

「寒いか?」
「うん」

ちょっと、心が。

「じゃあ、早く帰ろうぜ」
「うん」

ヨハンは人がいないのを確認すると、すばやく十代の唇にキスした。

「ヨハン!」

ぱっと赤くなった十代を見て、ヨハンは微笑んだ。

「十代、さっき俺が何考えてたと思う?」
「えっ?わからない」
「早く帰って十代を暖めたいなーと思ってたら、つい早く帰りたくて十代に合わせるの忘れてた。
「ヨハン」

どきどきしてきて、寒さも吹っ飛んだ。

「なんか、ヨハンが言うといやらしく聞こえる」

そう言う十代の耳元に唇を寄せ、ヨハンは囁いた。

「当然だろ、そういう意味なんだからさ」
「ばっ!」
「あははは、だからダッシュで帰ろうぜ!」

ヨハンは十代の手を引っ張ると走り出した。

家まで、あと少し。

ヨハンに手を引かれて一緒に走りながら、十代はとても幸せだった。

                               END

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