GX一般向け小説
□邂逅
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邂逅 First Contact
「ここが本校かあ、でかいよなあ」
アークティック校からの留学生、ヨハン・アンデルセンは呟いた。
入学以来、ずっと憧れていた本校にやっと来ることができた。日本はあの武藤遊戯と海馬瀬人を輩出したデュエル大国だ。世界的なデュエル大会の多くがここ日本で開かれている。そして、現在第一線で活躍しているプロデュエリストたちの多くがDAの出身だ。
「えーと、今日から新学期が始まるから、始業式で紹介するって言われたけど、どっち行けばいいんだ、ルビー?」
ヨハンは、彼の家族の一員、精霊ルビー・カーバンクルに問いかけた。
かなりの方向音痴であることを自認しているヨハンにとって、彼の行きたい場所を察知して、そこへ導いてくれるルビーはかけがえのない相棒だ。
”るびっ?”
ルビーは小首をかしげると走り出した。なんだかいつもと様子が違う。普段は時折ヨハンの方を振り返りながら、ちゃんとついてきているか確認しながら進んでいくのに、今日はなぜか一直線という感じで走っていく。
「おーい、待ってくれよ、ルビー!」
ルビーはどうやら上の階に行きたいらしい。ヨハンは急いでルビーを追いかけた。
それにしても上すぎないか?このままじゃ屋上に出てしまう、始業式って屋上でやるものだろうか、そう思ったとき、
”クリクリーッ!”
人間のものでない声がした。精霊だ、間違いない、だからルビーが興奮していたのか。日本で初めて出会う精霊だ、どんな姿をしているのだろう。ヨハンの胸は高鳴った。
屋上への階段を駆け上るとそこにいたのは、
「ハネクリボー?」
ハネクリボーのカードの持ち主といえば。
遊城十代、アークティックでも噂になっている奇跡の引きの強さを持つという本校のエース、彼しかいない。