GX一般向け小説

□同窓会・あるいは遊城十代の災難
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一般小説・同窓会、あるいは遊城十代の災難 

同窓会・あるいは遊城十代の災難

Part1

「東アジア・タッグデュエル選手権in Japan、優勝は遊城十代andヨハン・アンデルセン!!」

会場が大歓声に包まれる。

俺とヨハンはハイタッチして、声を揃え
「ガッチャ!」
と言ってポーズをした。

もし優勝したらやろうぜ、って二人で決めていたんだ。
まさか本当に優勝できるなんて思ってなかったけど。

「キャーッ!!」

女子の黄色い声もたくさん聞こえる。
ふと、隣のヨハンを見ると、しっかりウインクまでしていた。これか、原因は。
何かだんだん吹雪さんに似てきてないか?まあ、いいけど。

それにしても今日のデュエルは最高だった。

ギリギリの状況だったマルタンや藤原の時でさえ、ヨハンとのタッグは楽しかったんだ。ましてや正式のフィールドで百戦錬磨のプロデュエリスト達との真剣勝負、これが楽しくないわけがない。

さすがに相手も強くて何度も危ない場面があったけど、そのたびごとに、ヨハンのレインボールインの効果で助けられたり、ヨハンが俺の伏せカードをうまく使ってくれたりしてピンチを凌いでくれたりして勝ち進んできた。

そして、決勝戦。相手は前回優勝の男女ペアだった。
フィアンセ同士とか言ってたな。フィアンセってどっかで聞いたような気がするけど、なんだっけ?確か

「このデュエルはすべてユキナのため」
とか、
「カズトのためにも負けられない」
とか言ってたから、仲がいいってことなんだろーな。

上等じゃないか、俺とヨハンだって信頼し合っている親友同士だ。
フィアンセって何だか知らないけど、負けるわけにはいかない。

「デュエル!!」

例のテニスデュエルから3年以上が経過しておりますが、まだフィアンセの意味を知らない十代。誰か教えてやれよ!

 Part2

しかし、さすがに強い。

相手の残りライフは2200、こちらは1500。
今の相手のターン、「攻撃の無力化」でダメージはなかったものの、「万能地雷グレイモヤ」によって、宝玉獣の中で最も攻撃力の高い、サファイア・ペガサスが破壊されてしまった。

相手の場には、グレートアンガスとサファイアドラゴンが残っている。攻撃力は1800と1900、生贄なしで召喚できるモンスターとしては、どちらもかなり強力だ。
そして、こちらには攻撃表示のアメジスト・キャットと、守備表示のルビー・カーバンクル。次の相手のターン、攻撃されるとちょっと苦しい。

「すまない、ヨハン」
「大丈夫だ、十代。」

ヨハンは相手に向き直り、こう宣言した。

「サファイア・ペガサスを破壊してくれた礼は、しっかりとさせてもらうぜ。俺のターン、ドロー!!魔法カード”レア・バリュー”発動!」

マジック・トラップゾーンにいるのは、さっき破壊されたサファイア・ペガサスとアンバー・マンモスだ。

「さあ、どちらを墓地に?」
ヨハンの問いに相手の男は
「攻撃力の高い、サファイア・ペガサスを」
と答えた。

まだ出ていない「宝玉の契約」を警戒してのことだろう。たとえ、攻撃力の差が100に過ぎなくても、そのたった100のライフがデュエルのおいては大きく明暗を分けることがある。特にこのレベルになると、一瞬の油断や迷いでたちまち敗北に追い込まれる。削れるライフは出来るだけ多く削っておく。それが生き残るための条件だ。最後の最後にライフが1ポイントでも残っていれば勝利できる。だから絶対に諦めない、それがデュエリストというものだ。

「わかった。サファイア・ペガサスを墓地に送り、カードを2枚ドロー!」

ヨハンはドローしたカードを見て頷く。

「トパーズ・タイガーを召喚!」
「な、トパーズ・タイガー?!」

やった、やっぱりヨハンの引きはすごい。トパーズ・タイガーには、モンスターに攻撃するときに攻撃力が400ポイントアップするという特殊効果がある。攻撃力2000ならサファイアドラゴンを破壊できる。グレートアンガスを残すのは不安だが、ここを凌げば、必ずチャンスはあるはずだ。

頑張ってくれヨハン!
俺は祈るような気持ちでフィールドを見つめていた。
と、ヨハンがこちらを向いた。

(まだまだ、これからだぜ)

ヨハンの目がそう言っている。唇がほんの少しだけ上がり、翠玉の瞳が輝いている。
あ、もしかして。

俺は、この前のヨハンのターンで、伏せられたカードを思い出していた。

デュエルを書くときは、胸がどきどきします。結果はもちろんわかってるんだけど、それでも気分が高揚します。ちょっとだけ、十代やヨハンになれたような気がして。
この話では、まだ「リリース」ではなく、「生贄」という表現を使用しています。遊星の時代よりかなり前なので。そのうち、ルール変更の話も書くかもしれませんが、暫くは旧ルールのままでいきます。

 Part3

そうだ、トパーズ・タイガー。

ピンチが続いて、うっかり忘れていた。ヨハンの今まで出したカード。トパーズ・タイガーは、多分。
そして、さっきヨハンが伏せたカードは。

ヨハンは満足げに頷き十代ににっこりと微笑んでみせると、相手に向き直り、こう宣言した。

「トラップカード、”虹の引力”を発動!」
「ヨハン!」
「大丈夫、って言ったろ、十代。」

「なんだって?!」
「まさか、あの」

相手はうろたえている。
それはそうだろう、「虹の引力」によって呼び寄せられるもの、それは勿論。

「出でよ、究極宝玉神、レインボードラゴン!」

フィールドから4色の、墓地から3色の宝玉が現われ、上空に虹が架かる。
そして、その中からから、7つすべての宝玉を身につけた美しい白竜が姿を現した。

「うわあぁぁぁ!!!すごい!」
「あれが、例の」
「世界で一体の幻の竜」
「レインボー・ドラゴン」

会場がどよめきに包まれる。

いつ見てもレインボー・ドラゴンはきれいだ。
会場の観客たちも、うっとりと見惚れている。何だか、俺まで誇らしい気持ちになってくる。

「覚悟しろよ、レインボードラゴンで、グレートアンガスを攻撃!オーバー・ザ・レインボー!!」

「うわああぁぁぁぁ!」

一瞬にして相手のライフがゼロになる。

そして、勝負はついた。

かっこいいヨハンが書きたかったんです。レインボードラゴンはほんとに限られた人しか見たことのない幻のモンスターだったので、あの美しいドラゴンは是非たくさんの人に見て欲しいと思って書きました。このとき会場に来てた人は幸せですね。
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