拍手文ログ

□夏のお楽しみ
1ページ/1ページ


夏のお楽しみ


「十代さーん!」
明るい女性の声に十代は振り向いた。
今日は、アマチュア大会に、ヨハンとともにゲストとして出場した。
声をかけてきたのは、主催者側スタッフの女性だった。
「お疲れ様です。今日はおかげさまで盛り上がりました」
「いえ、こちらも楽しかったです」
「これ、よかったらヨハンさんと食べてください」
そう言うと彼女は紙袋を手渡した。
中には、緑茶のペットボトルと白い箱。
「おいしいって評判の和菓子屋さんの水羊羹です。って、単に私の好物なんですけどね、今日はほんとにありがとうございました。またぜひ来てくださいね」
「こちらこそ、どうもありがとうございます」
十代は礼を言って、控え室に向かった。


「おーい、ヨハン」
ドアを開け、ヨハンに声をかける。
「おう、どうした?」
「これ、貰ったからいっしょに食べようぜ」
「それ、何だ?」
「水羊羹」
「みずようかん?」


「水羊羹って、初めて食べた。」
「そうか。どうだった?」
「うまかった。冷たくてゼリーみたいだけど、もっと味濃厚だな。ほかに日本の夏のお菓子ってどんなのがあるんだ?」
「えーと、葛きりとか、水饅頭とか、あと、カキ氷!」
「かきごおり?シャーベットみたいなものか?」
「うーん、似てるけど、ちょっと違う。」
「どこが?」
「えーと、説明しにくいから、今から食いにいくか?」
「行く行く!」
ふたりは連れ立って外に出た。
これからが、夏本番。冷たくて甘いお菓子は、夏の一番のお楽しみ。


                      END

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ