GX十代女体小説

□発端
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発端  The Outset of Green

「吹雪」
「何かな?」

公園を出て、キャンパスに向かった丸藤亮は、親友の天上院吹雪に話しかけた。

「どういうつもりだ」
「どういう、とは?」
「なぜあんな真似をした」

「何のことだ?」
「とぼけても無駄だ。ヨハンに気づいていたんだろう。なぜわざと見せ付けるような素振りをした。真っ青な顔をして木陰に隠れたぞ。十代に惚れているわけではあるまい。」
「遊城十代は美人だ。僕の恋人にしたいと思わないでもない。ヨハンから奪ってでもね。」
「心にもないことを」

亮は決め付けた。

「何を考えている」
「別に何も」
「いい趣味とは思えん。お前らしくもないな。」
「ちょっとした余興さ。こじれるようなら、僕からちゃんとヨハンに説明する。」

吹雪は自重気味に笑った。

「趣味が悪いのは承知の上さ、ただ」
「ただ?」
「僕は見てみたいのかもしれない」
「何をだ」
「true love・・・」

そう呟いた吹雪の瞳は翳っていて、いつもの明るさはなかった。

「吹雪・・・」




あとがき代わりに。
「恋人たちの時間」のおまけ
最初のシーンで、公園を出た、お兄さんズのその後です。
すべての嫉妬の発端は吹雪さんでした。ここの吹雪さんは結構屈折してます。
「Green」は英語の慣用句で「嫉妬」を意味します。
「嫉妬の発端」ですね。ちなみに、これの本編は「嫉妬の嵐」となります。
読んでくださったかた、まことにありがとうございます。

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