GX一般向け小説

□アニキは一人
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アニキにとって、ぼくって何なんだろう。岸壁に座って海を眺めながらぼくは思った。

ぼくにとってアニキはすごく重要な位置を占めてるのに、アニキはぼくのことなんか全然気にしてないんだろうな。例えば突然ぼくがいなくなったとしても、一週間くらいたってから、
「そういえば最近、翔見ないな。」
って、初めて気付くんじゃないかな、いや、きっとそうだ。情けなさに思わずため息が出る。


その時、急に後ろからドローパンを持った手が伸びてきた。袖口のフリルに白い肌、ヨハンだ。顔を上げると、ヨハンは一人だった。

「あれっ!?アニキは?」
「十代ならデュエル、デュエルってうるさいからまいてきた。一緒にドローパン食べようぜ。」

十代がうるさいからまいてきたかあ。いっぺんくらい僕も言ってみたい台詞だ。

「あ、うん、ありがとう。」

別に、食べたくはなかったけど、一応お礼を言ってドローパンを受け取った。
ヨハンは僕のとなりに腰をおろすと、自分の分のドローパンの包みをひらき一口齧った。


「あ、カレーパンだ。」
「いいな、ぼく辛いものは苦手だけど、ここのドローパンのカレーは、甘口でおいしいから好きなんだ。」
「へえ、そうか。でも日本のパンって面白いな、中に具が入ってるって最初聞いたときはびっくりした。でも食べてみたらすごくうまいなーって思って、今ちょっと病みつきかも。これってやっぱりおにぎりから得たアイディアかな。」
「ヨハンの国にはないの?」
「そういう発想はないな、パンにはいろいろ挟むけど。スモークサーモンとかローストビーフとかさ。」
「ふうん」
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