GX一般向け小説
□アニキは一人
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アニキは一人
I Call Only Judai "Aniki"
ヨハン・アンデルセンはDAの姉妹校の一つ、アークティック校から来た留学生だ。母校では首席とかで、当然デュエルも強いし、成績もいいし、その上、顔も性格もいい。だからすごく人気がある。でも、ぼくはどうも好きになれない。
何故って?ぼくがアニキと慕う遊城十代と仲が良すぎるからだ!
それも、どうもアニキの方がヨハンを追いかけまわしているような気がする。ついこの間DAに来たばかりのヨソ者のくせに、入学した時からずっと一緒のぼくを差し置いて、ちゃっかり「親友」の座に納まるなんてひどいじゃないか!
その上、剣山くんには「十代の子分なら俺の子分でもあるし」なんてムチャクチャなことを言ったらしい。剣山くんはともかく、ぼくにとってはあんな奴断じてアニキなんかじゃない!
「あんな奴になんか負けないぞ!ぼくだって、ぼくだって!!」
思わず口に出してしまった時だった。
「おはよう、翔!朝から気合入ってるな。恋のライバルにデュエルでも挑もうってのか?」
この声は間違いなく、と思って振り向くと、やはりそこにいたのは
「ヨハン!」
相変わらず「さわやか」としか言いようのない魅力的な笑顔だ。きっとみんなこの笑顔にだまされるんだろうな。
「いや、別にそうじゃないけど」
でも、別に恋じゃないけど、ライバルはライバルだ。ヨハンはそう思ってないだろうけど。
よし、ぼくだって男だ、正々堂々と勝負してやる。この間のエキシビションデュエルでアニキをあと一歩まで追い詰めたヨハンにもし勝てばアニキだってぼくを見直すに違いないんだ。それに、いつか「カイザー翔」となるためにも強い相手とデュエルしなくちゃならない。