キリリク小説
□地霊達の帰宅 〜 festeval&surprise
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「…あら?貴方は射的屋の…」
二人を追いかけてきたのはこいしが最初に立ち寄ったあの射的屋の青年だった。
「ハァ、ハァ…や、やっと追いつい…た。」
「どうしたの、そんな急いで?」
「こ…これ…!」
息を切らしながらも二人の元へ走って来た青年は、右手に持っていたファンシーな熊のぬいぐるみをこいしに手渡した。
「これって…こいしが当てようとした物ですよね?」
「くれるの!?」
「…フゥ。ええ、あの後結局誰も落とせませんでしたし、一番欲しがっていた人にあげるのが私の決め事ですので」
「ま、サプライズ的なものだと思ってください♪」
青年は清々しくそう言うとやや小振りの袋包みをさとりに渡した。
「こっちはリンゴ飴とかガラス細工が入ってるんで留守番をしてる人達にでも渡してやってください…それじゃ!」
「あ、ちょっと!」
「…行っちゃったね」
青年が走り去った方を見てこいしは両手に抱えているぬいぐるみをギュッと抱きしめた。
「…でも本当にビックリしたね♪」
「そうね、じゃああの子達のお土産も出来たことですし帰りましょうか?」
「うん♪」
そうして二人の妖怪少女は地底へと帰っていった。
後日、何時ものように読書をしていたさとりはふと思い出したかのように、
「そういえばあの人間はどうして『留守番がいる』事を知っていたのかしら…?」