東方時流伝

□東方家族日記
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「ふぅ……朝から激しかったわね♪」

あれは夢だあれは夢だあれは夢だあれは夢だあれは夢だあれは夢だあれは夢だあれは夢だだばだばだ…………。

「うにゅ?おはよ〜おとーさん」

階段を降りながら現実逃避をしていると台所から元気な声が聞こえてきた。

「ありがとね空。お陰でお寝坊さん達を起こしてこれたわ」

「えへへ、偉い?」

「偉い偉い♪」

幽々子が駆け寄って来た空の頭を撫でると嬉しそうな顔で空は笑った。
なんか微笑ましいな…。

そう思ってると台所の方からなんか凄い音が…。
あれだ、熱した鉄を冷水の中に勢いよく入れた時にする音。

「あっ!お味噌汁を火に掛けたままだった!」

「あら大変、すぐに消さないと」



慌てて向かった二人の手によって無事だったそうな。





しばらくしてから妹′sも起きてきた。
だが何やらギャーギャー騒いでいるようだけど…どうしたのだろうか?

「朝から何をそんなに騒いでいるのかしら?」

「だってこいつが!」

「違うわよ!あんたが言わなきゃ…!」

「ちゃんと名前で呼ばないと駄目だよ!!!」

台所に着た途端に自分が正しいと自己主張をし始める妹ら。
それに座っていた空が勢いよく立ちあがってそう言うと二人はしゅんとして静かになった。

というか、注意するとこそこなのか?いや、確かに間違ってはいないけど…。

まぁいいや。
それでどうして騒いでいたの?

「あのね、昨日の夜ふたりでお話ししてたんだ」

「そしたらね、姫ちゃんが『私は将来おとーさんのお嫁さんになる!』って言ったんだ」

「だけどね、もこちゃんもそう言うからどっちがおとーさんのお嫁さんになれるかって勝負することにしたの」

「勝負?」

不思議そうに幽々子が聞いた。


ああ、ちなみに二人はお互いの事を『姫ちゃん』、『もこちゃん』と呼び合っている。
昔からなのだがその理由は『それっぽい』からだそうだ。


「うん!お嫁さんだったらおとーさんと一緒に寝るんだって姫ちゃんが言うから部屋に行こうとしたんだよ!」

「だけど気付いたら自分達の部屋で寝てたから良く分かんなくて…」

…そういうことか。というか二人とも、何故その発想に行きついた。
『お父さんのお嫁さん』というのは子供が持つ夢でよく言われるが、まさかこの二人の場合はそこまで発展するとは思わなかった。

っていうか幽々子と空は笑い過ぎだろ。少しは当事者の身になって!

「アハハ!二人ともそんなにおとーさんの事が好きなのね」

「うんっ!もちろんだよ」

「わ、私だっておとーさんの事…」

幽々子の言葉に二人は肯定の意を示す。

待て、なんか妹紅がツンデレなんですが。いや、それは別に普通か。

「私だってお父さんの事今でも好きだよ?」

ちょっと待て!それは今ここで言う事じゃないだろう空!

「え?だって年頃の女の子ってお父さんの事を嫌いになるって誰か言ってたんだけど」

誰に聞いたそんな話!いや、まぁ確かに嫌われるよりはいいけどさ。
ここで言うのは流石に…

「?別にいいじゃん、だってみんながお父さんの事『だいすき』なんだよ?」

だ、だいすきって…

「…ほら!とにかく理由は分かったんだしみんな早く食べたほうが良いわよ〜…時間は大丈夫なのかしら?」

幽々子にそう言われて時計を見ると結構時間が経っていた。ヤバい!今日は朝から会議だぞ!?

慌てて残った朝食を食べ終わろうとすると空が勢いよく立ちあがった。

「あっ!あといかにゃいと遅刻しちゃう!」

そう言って鞄を掴むと玄関へと駆けだしていった空。
噛んでたよな、今?

「もこちゃん!私達もそろそろ行かないとバスに乗り遅れちゃうよ!」

「うん!早く食べて行こっか!」

二人もどうやらもうすぐ迎えのバスが来るようだ。
朝食を食べ終え小さなバックを背負った二人も玄関から出て行った。

「アナタも行かなくて良いの?」

…もう少しぐらい幽々子と一緒に居ても大丈夫だよ。

「…遅刻しても知らないわよ」

ふふっ…心配いらないよ。

立ちあがって机の上の空の食器を片づけに台所に向かう幽々子の顔は見えないが、何となく赤くなっているだろうと思って小さく笑った。




さて、そろそろ行こうかな…

「今日は何時頃帰ってくるの?」

今日は朝から会議が入ってるから少し遅くなるかな。

「そう…」

大丈夫。頑張って早く切り上げてくるからさ。

「いってらっしゃい」

いってくる。

いつものように玄関に見送りに来てくれた幽々子にキスをすると後ろ手に手を振りながら外へ出た。
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