東方時流伝
□天の川の流れ星
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夜。博麗神社には人間、妖怪、神様、その他さまざまな者が集まり七夕を…楽しんでいた。
「…ねぇ、これって七夕のお祭りよね?」
「ああ、確かにそうだぜ」
「七夕という名の宴会だけどね」
霊夢の問いかけに魔理沙とアリスが答える。
その言葉通り集まった人達は頭上の綺麗に輝く天の川など完璧にスルーして騒いでいるのだ。
その様子を縁側で見ていた霊夢は呆れた様子で溜息をつく。
二人も同じように腰掛けながら目の前の『七夕という名の宴会』を眺めていた。
「まったくもう…ちゃんと『七夕のお祭りをする』って言った筈なんだけど…」
「少なくとも『神社に集合』とだけしか言ってないだろ」
「私もそれだけしか聞いてないような気がするわ」
「あら、皆さん何を話しているのですか?」
そんな話をしていると、三人の元へ白蓮がゆったりとした足取りで歩いて来た。
後ろで艦ちょ…船長やその他数人が飲み潰れているところを見るとどうやらちょっとした飲み比べをしていたようだ。
「七夕なのにいつもの宴会とそう変わらないわねって言ってたのよ」
「いつもがどんな風なのかは知りませんが…今日は少し違いますよ?」
「えっ?」
霊夢はその言葉に酒を飲もうとする動きを止めた。
『いつも』を知らない白蓮が何故そう言ったのか。
理由はすぐに分かった。
「お久しぶりね、『靈夢』…いえ、霊夢」
「ッ!?…アンタがどうしてここにいるのよ?」
白蓮の後ろから現れた人物。
白銀のような髪は一か所だけ跳ね、
赤と白を基調としたローブを纏うその姿は、
「…うそ、でしょ…!?」
「何を言ってるのアリス『ちゃん』。私よ」
「神綺…何でアンタがここに居るんだ!?魔界にいた筈…」
魔理沙の言葉に妖しい笑みを浮かべるのは、魔界の創造主にして管理人である神綺だった。
ここに居る筈のない人物の姿に驚く三人に、神綺は言葉を紡ごうとする。
「それはね………」
「夢子ちゃんに任せて遊びに来ちゃった♪」
『…は?』
キャハッ♪という効果音がつきそうな笑顔で言ったその現実に、三人は同じ顔で同じ言葉で驚いていた。