東方時流伝

□禁じられた遊び
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「狐狼天の衝動」
立ちあがった白蓮は、冷たく短い声でスペルを宣言すると手首のブレスレットが弾け飛び、見る見るうちにその姿を変え、巨大化していく。
フランはその様子をじっと見ていたが、やがてニッと笑うと、
「面白〜い♪じゃあ次は私の番だね!」
そう言って、獣と化した白蓮に向けて右手を突き出す。

ギュっ!

………。
「…なんで?」
グオオオォォォォ!!!
右手を握り締めたまま、フランは茫然としながら、目の前で吠える獣を見て呟いた。

ブォン!

「きゃあ!」
獣の左手がフランを掠めて空を切った。その余波で砕け散る床。
「なんで壊れないの…?」

この時、初めてフランは恐怖を感じた。目の前に居るのは自分の力が効かない相手。
仮に、弾幕を放ったとしてもこの大きさではあまり効かない。

そう考えると、フランは迫りくる獣に対し、じりじりと後ずさるしか無かった。
「こ…来ないでよ!」
とにかく弾幕を撃ち続けながら後退するフランだったが、獣はまるで何事も無いかのように近づいてくる。
やがて壁に背中がぶつかると、逃げ場が無いことを理解した。
フランはうずくまり、頭を抱えて震えた。
その間にも獣が歩くことで生じる地響きが少しずつ大きくなっていく。
やがてそれも止まると、フランはゆっくりと顔を上げた。

目の前にいるのは銀色の獣。獣の瞳は燃えるような赤い眼でただフランを見ていた。

「フラン様!大丈夫ですか!?」
フランが茫然自失の状態で見ていると、獣の右手が持ち上げられた。
それとほぼ同時に扉が開かれ、咲夜が駆け込んできた。
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