東方時流伝

□弾幕演奏会
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「それと、これを使ってください。」
妖夢がそう言って、凪沙にカードを渡した。
「これは?」
全部で五枚くらいだろうか。そのカードはすべて白紙だった。
「それに、弾幕の様子や形などを書き込むとスペルカードになるんですよ。」
「なるほどね。それが俺のスペルカードっていうわけか。」
凪沙は妖夢から筆を借り、三枚ほどに、思いついた弾幕のイメージを描いていった。



「準備はいいー?」
リリカが、凪沙から十メートルほど離れた場所から声をかける。
「おう!いつでもいいぜー!」
それに凪沙も応じると、右手に『蒼牙』を構えた。
(弾幕っていうとどうしても銃の方が出しやすいと思うんだけどな〜。)
凪沙がそう思っていると、
「じゃあ、さっそくいくよ〜!」
そう言って、リリカが球状の弾を飛ばしてきた。
「おっと。」
弾は顔の右側をかすめていった。
一個だけだったのでかわすのは容易かった。しかしスピードが速く、回避がもう少し遅かったら当たっていただろう。
「やっぱこんなんじゃ無理か。だったら・・・いっくよー!」
リリカは宙に浮かべていたキーボードを目の前に持ってくると、演奏し始めた。
「私のソロ、たっぷり聴いていってね〜!!」
リリカが演奏を始めると、彼女の周りに音符の形をした弾幕が展開しはじめた。
「ちょっ!あんなん有り!?」
「これが弾幕っていうもんだよ!・・それ!」
リリカのかけ声と共に音符の形をした弾がたくさんの丸い弾になり、凪沙めがけてせまってきた!

「・・やってみるか!!」
凪沙はそういうと、細かい弾幕をなんとか避けながら、蒼牙を横薙ぎに振りぬいた。
「えっ!?」
「よしっ!出た!」
蒼牙の刀身から斬撃のような弾が出た。それは横一直線に飛ぶと、演奏中のリリカに見事当たった。
「痛た・・・もう、本気でやってやる〜!」
リリカは弾が当たったところをさすると、怒ったように言った。


「ねぇ、姉さん。」
「なに?メルラン。」
屋敷の縁側に腰掛けながら、メルランはルナサに尋ねた。
「リリカがあんなにはしゃいでるの、見たことある?」
「・・・無いわね。しかもリリカってば弾幕勝負の時は、普通自分からいかないし。」
ため息をつきながらルナサが答える。
「そうよねぇ。・・・彼って本当に何者なのかしら?」
「家の専属料理人よ。」
「おまっ!幽々子!?」
二人の会話に割って入るように現れた幽々子は、ルナサの反応に笑うと、
「でも、それ以外のことは私たちにもわからないわ。」
「・・・。」
静かにそう言う幽々子の顔は、どこか物寂しさと、好奇心を出していた。
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