東方異聞譚

□ようこそ幻想郷へ
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「・・・ったく、なんでこんな一般人を巻き込むんだ?」

俺は周りに倒れている男たちを見回すと溜息をついた。

「て・・てめぇは何もんだぁ!?」

正面にいる黒スーツを着た大男が焦った様子で聞いてきた。

「それはこっちが聞きたいです。いきなり襲ってきておいて・・・まったく、何者とはなんですか」

理由ははっきりしている。だがその前にこの状況を説明しないといけないだろう。

まず、俺は平凡な一般市民。コンビニに夜食を買いに行き、帰り道に普段は使わない
ビルとビルの間の近道を使って帰ろうとしたのだ。すると、今は地面と仲良しになっている奴らとばったり遭遇。

ついでに、

「他の組の奴か!」

「かまわねえ!やっちまえ!」

と、いきなり襲われたわけ。

わーい、人権無視ってひどくね?

「とりあえずここを通してくれませんか?せっかく買ったお弁当が冷めちゃいそうなんで」

青年は努めて冷静に言った…つもりだったのだが、

「ふざけんな!ここまでやられておとなしく引き下がれるかい!」

黒スーツの男は懐から小刀を取り出すと青年に向けて威嚇してきた。どうやら相手の気持ちを逆なでしてしまったようだ。

「…しかたない、か」

青年はそう呟くと男に向かって走り出した。

刀の間合いに青年が入ると、男は袈裟掛けに切りつけてきた。

「本当に切るのかよ!」

青年は体を反らして避けると男の後ろに素早く回り込み、首の後ろに手刀を入れた。
男がゆっくりと前に倒れこむ。

「ふぅ・・。さて、帰りますか♪」

青年は髪をかき上げると男たちを避けながら帰路に着いた。










「…中々面白いわね、あの子」

それをビルの屋上から眺めていた一人の人影。
…しかし一瞬でその姿は闇に掻き消えた。
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