キリリク小説
□少し早い冬のあの世
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冥界のお屋敷 白玉楼。
冬になってから急に降り積もった雪はとどまる事を知らないのか、はたまた冬の妖怪が仕事を頑張り過ぎているのか、積もった雪は庭園をすっぽりと覆いかくしていた。
その所為かどうかは分からないが、桜の枝が折れていないかの確認や補強を済ませた妖夢はする事が無くなったので、主人である幽々子と同じようにコタツに入っていた。
「暇ね〜、何か面白い事でもないかしら?」
「幽々子様、そう簡単に何かあっても困りま…」
みかんの皮を剥いていた妖夢はそう返答しようとしたのだが顔を上げた瞬間、
「みょんっ!?」
…飛来してきた物体に顔面直撃してしまった。
「…なるほど、つまり雪合戦をしていた、ということですか」
「え、ええっと…ごめんなさい!」
「何で大ちゃんが謝るのさ!雪合戦なんだから当たったこいつが悪いんだよ!」
「そーなのかー?」
「いやチルノちゃん、この場合悪いのは僕たちなんじゃ…」
「でもまさか障子を突き破るなんて普通は考えないわよ」
顔に雪をつけたまま、妖夢は庭先で遊んでいた五人組に理由を説明させた。
さっき妖夢が当たったのは雪玉だったようで、詳しく話を聞けば、
「雪がいっぱい積もったから遊びに来た!」
とは氷精のこと。どうやら広くて雪がたくさん積もっている場所を目当てにして来たという。
「しかしどうしてウチに来たんですか?今は雪なんて幻想郷中どこにでもあるじゃないですか」
「いや、それが…」
◆◆◆
いつものように遊ぶために集まった五人だったが、今日はそこに見知らぬ人物が混ざっていた。
「…ええと、それでアナタは何処の誰なんでしょうか?」
「私?私はさとり様のペットのお空だよ!」
『えっ!?』
大妖精の質問に元気良く答えた空はそう言って驚いている他の四人に視線を向ける。
「何か楽しそうな声が聞こえたから来てみたんだ」
「ん…じゃあアンタも一緒に遊ぶ?」
「え、いいの!?」
ミスティアの誘いに嬉しそうな表情を浮かべて尋ね返す。
それに首を縦に振れば「やった〜!」とはしゃいでいた。
「それで今日は何をしようか?」
リグルの言葉に一同は考え込む。
「雪だるまはどうなのだー?」
「それはこの前作ったし、まだそこにあるじゃない」
ルーミアの提案にミスティアが傍にあった大きな雪だるまを指差して却下。
「なら雪合戦は?確かまだやって無いよね」
「あ、それいいじゃん!よし、やろう!」
『オーッ!!!』
かくしていつもの五人+αで遊ぶこととなったのだが。