キリリク小説

□変わった訪問者
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地霊殿。
そこは地底にある都市―――旧都の中央にある大きなお屋敷である。

旧都では、そこで飼われている猫や烏などのペットの姿(大抵は人化している)をよく見かけるが、肝心の主―――古明地さとりの姿を見かけることは殆ど無い。

あまり人と関わらない、まぁ大人しい性格というのもあるのだが。

それも彼女の能力が理由のひとつだろう。


“心を読む程度の能力”


その名の通り他人の心を読み、考えていることや思ったことが判るというものである。

それ故彼女は周囲から忌み嫌われ、この地底へと堕とされた。

そんな彼女の元に転がり込んできたのは一人の少女。

「うーん…」

「……大丈夫ですか?」

初めはさとり自身も関わるつもりはなかったのだ。

だが自分の家の前で倒れているのに放っておく訳にはいかなかった。


◆◆◆

「あれ〜さとり様、この人誰ですか?」

「家の前で倒れてた人よ」

とりあえず屋敷に運び(力が無いためペットに頼んだ)、空き部屋のベッドに寝かせると扉から入ってきたのは彼女のペットである黒猫―――お燐だった。

「へぇ〜珍しいですね、地上じゃなくてここに来るなんて」

「そうね…」

「…どこなの、ここ?」

「あ、起きた」

お燐と話している間に目を覚ましたらしく、少女はキョロキョロと辺りを見渡すと自分の横にいる二人に気付いた。

「あのぅ…ここってドコなんですか?」

「ここは地底の都市、旧都にある地霊殿という屋敷です」

恐る恐るといった感じで問いかける少女にさとりは淡々と答えた。

「地底…地下ってことですか!?」

「まぁそうなりますね。それで、あなたは…?」

「…さとり様?」

驚く少女にそこまで言いかけたさとりは今までの話に違和感を感じた。
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