キリリク小説
□地霊達の帰宅 〜 festeval&surprise
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「お姉〜ちゃん♪」
「どうしたの、こいし?今日はいつもより楽しそうね」
地底に存在する旧都。その真ん中には地霊殿という大きな建物がある。
住んでいるのは主であるさとりと妹のこいし。他には彼女等のペットである猫やら鴉やらが居た。
そんな地霊殿の一室で、ソファに腰掛けながら本を読んでいたさとりの元に、こいしがはしゃぎながら入って来た。
「えへへ…実はね、今日は地上でお祭りがあるそうなの!」
「誰に聞いたの?」
「魔理沙に♪ねぇお姉ちゃん、行ってみない?」
「うーん…私が地霊殿を留守にするわけにはいけませんし…」
「え〜!いいじゃない別に」
中々納得しないさとりに、こいしは不満そうに頬を膨らませた。
「行〜き〜た〜い〜!」
「…はぁ、仕方ありませんね。お燐、お空」
「「お呼びですか?」」
さとりが手を二度叩くと、奥からペットである燐と空が文字通り飛んできた。
「少々ここを留守にしますので、その間は頼みましたよ」
「は〜い♪任せてくださいな。ね、お空?」
「ええ、お任せくださいさとり様!…で、何を任されるんだっけ?」
「このバカ鴉!H!」
「うにゅ?」
◆◆◆
「うわ〜、お店がたくさんある!」
「旧都よりも賑やかなのね。人も大勢いる様だし」
さとりとこいしがお祭りが行われている博麗神社に着くと、二人はその活気良さに目を丸くした。
「…ここの人達は心から楽しんでいるみたいですね」
「あ、射的だって!ちょっとやっていこうよお姉ちゃん!」
『人の心を読める程度の能力』をもつさとりには周りにいる里の人たちの楽しそうな気持ちも伝わっており、自然と柔らかな笑みがこぼれていた。
そんなさとりの袖を引っ張って、こいしは目に入った面白そうな出店に立ち寄っては誰から見てもわかるぐらい楽しそうにはしゃいでいた。
◆◆◆
夜も暗くなり、ちらほらと店じまいを始める処も出始めた頃、二人も帰り支度を始めていた。
「楽しかったねお姉ちゃん!」
「そうね、私も久しぶりにゆっくりした気持ちだわ。あの二人にも何かお土産があれば良かったのだけど…」
……ぉ〜ぃ。
「「?」」
二人が満足そうに話したとき、どこか遠くから自分達を呼ぶ声がした。
振り向けば、
「ちょっと待ってくださ〜い!!!」