東方時流伝
□鬼と人・人と鬼
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―――どうしてあっちに行くんだい?人間達は私達を裏切ったんだぞ?
―――それでも行くよ。
―――…ねぇ、どうしてなの?あっちにいけばまた騙されることになるかもしれないのよ。
―――考え直すという手はないのか?
暗闇の中、四つの人影は………
否。三つの人影はポツンと離れた一つの影に向かって問いかける。
離れて立っている影の先には強く、激しく、鮮やかに煌く光。
しかしその光は暗闇の中にいる住人にとっては痛く、辛いものでしかなかった。
三つの影は引き留める。
…たった一つしかない大事な欠片を。
これ以上傷つかせないために
これ以上汚させない為に
これ以上壊さない為に
しかし欠片は歩みを止めない。
信じていたものを再び信じる為に
まだ見ぬ人と出会うために
自分の心のままに
萃香っ!!!
………。
………。
…どうしても、行くのかい?
…うん。ごめんね。
…いや、お前が決めた事だ。私達が口を出しても変わらないのならそのままでいい。
………。
だけどな、私達はここにいるから。
……うんっ!
光の中へと溶けて行った同胞を見送った三人はそのまま静かに闇の中へと消えて行った。