東方時流伝

□弾幕演奏会
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「スペルカード勝負・・・ですか?」
「そう!」
夜の白玉楼での小さな宴会のあと、二日酔いから回復した凪沙は、妖夢にスペルカード勝負をしたいと言ったのだ。
ちなみに今、妖夢は庭の掃除をしている。凪沙はというと、どうやら仕事は料理だけの様らしく、暇を持て余していた。
「でもなんで急に?」
「うーん・・・。こっちの世界に住むんだから、こっちのルールも覚えたほうが良いかな?と思ってさ。」
妖夢の疑問に、凪沙は少し悩みながらもそう答えた。
「そう・・・ですか。でも、私はできません。」
「え〜。何でだよ?」
しぶる妖夢に凪沙が反論すると、
「庭の掃除、木の手入れ、部屋の片づけ、洗濯・・・」
「わ、わかったから。」
妖夢が、自分がしなければいけない仕事をどんどんと口にするものだから、凪沙はあわてて止めさせた。
「うーん。それじゃあルールだけでも説明しておきますか?」
「・・・頼んでもいいか?」
「もちろんです!」
妖夢がそういうと、凪沙は嬉しそうに笑った。
「サンキュー」



「えーと、基本的なことは幽々子様に聞いているんでしたよね?」
「ああ。だから、聞かなきゃいけないのは実践的なことか。」
「そうですか。それじゃあ説明しますね。」
妖夢は手元からスペルカードを取り出した。
「基本は弾幕を撃ち合うんですが、ここぞという時にこのスペルカードを使うんです。」
「はい質問!使うときってどうすんの?」
凪沙が学校のように手を挙げて質問する。
「スペルカードをかざして相手に見せてから、技の名前を宣言して使うんです。」
「そーなのかー。」
妖夢の返答に、凪沙は感心したようにうなずくと、手を降ろした。
「あとは、カードに描いてある弾幕が出てくるので、そこからは基本どおりに。」
「なるほどね。」
「これがスペルカードを使うときの説明です。わかりましたか?」
「ああ。かなり良く分かった。」
妖夢が聞くと、笑顔でそう答える凪沙だった。
(っても、弾なんかどう出せば良いんだよ?)
実際は、基本がわかっていなかった・・・。

「あれ?あんたは・・・」
「・・・どちらさまですか?」
「いや、それはこっちのセリフ。幽々子に呼ばれて来てみたら、見知らぬ人間がいるんだから。・・・人間?」
凪沙が妖夢の説明を聞き終わると同時に、後ろから声をかけられた。
凪沙が振り向くと、そこには三人の少女が立っていた。
凪沙に尋ねた少女は黒服に金髪、手にはバイオリンを持っていた。その後ろにいる少女は、トランペットを持っており、少しはなれたところにいる少女はキーボードを・・・が宙に浮いていた。
「どう見ても人間よ、姉さん。」
「メルラン、やっぱりあんたにもそう見える?」
「ルナサ姉さんにはそう見えないの?」
「こら、リリカ!」
「ああ、プリズムリバー楽団の方達ですね。こちらへどうぞ。」
「プリズムリバー楽団・・・?」
妖夢にそう呼ばれた少女達は、凪沙の疑問符を持った呟きに対し、
「まさかあんた、私たちを知らないの?」
驚いた風にルナサが言う。
「まぁ、幽霊ですからね。」
メルランも笑顔のまま、それに応じる。
「もしかして、外来人だったりして!」
リリカが冗談っぽくそう話す。
「・・・一応そうなんだけど。」
「「「!?」」」
凪沙が気落ちしたように言うと、
「・・・これはおどろいたね。」
「まさか、本当に外の世界から来たなんて・・・。」
「私、冗談で言ったんだよ?」
三者三様の言葉を口にしながら、驚きを隠せないようだ。
「とりあえず、部屋に行きましょうか?彼の事はそれからでもいいわけですし。」
妖夢がルナサ達にそう声をかける。



「で?こいつはあの八雲紫の力でこっちに連れて来られた。っていうこと?」
「要約すれば、そうなりますね。」
リリカの問いに、妖夢が答える。
妖夢が、凪沙が幻想郷に来ることになった経緯を話してくれた。
凪沙はそれをただ聞いていただけだ。
(しっかり記憶してんだな・・・。)
「ふーん・・・それじゃあ、私と勝負してみない?」
「ちょ、リリカ!?何言ってんの!?」
納得したような顔をしたリリカが、ニヤリと笑って聞いてきた。
「え〜?だってこいつ、あの紫から連れて来られたんだよ。っていうことは相当強いんじゃない?」
「それは・・・」
ルナサの制止に、リリカは楽しそうに笑う。
「というわけで、弾幕勝負、やろっか?」
リリカが凪沙に聞いてくる。
「いいのかなぁ・・・?」
「しかたないですね。私が幽々子様に許可をとっておきます。」
妖夢があきれながらも、そう言ってくれた。
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