BL長編小説 【美しい男】
□美しい、男。
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色、白いなぁ。
なんであいつ、あんなに色白いんやろ?
そこらの女より、白いやんけ。
ちくしょ、可愛い。
可愛いな。
中学のときだった。
気づいたら、由樹のことを見てた。
そこらへんの女より色白いな、とか、腰元とか華奢やな、とか。
いろいろ考えてて。
気づいたら、教室の、俺の前に座ってる由樹ばっかり見てる自分に気づいた。
・・・ホモやん。
正直言って悩んだ。
おかしない?
だって、俺、初恋は女の子やったのに。
女の子とも付き合ったことあるし。
それなりに・・・やることもやったし。
できたし。
それやのに。
15歳の俺は、気づいてしまった。
親友が、好きやった。
ふだん無表情な由樹が、俺と話してるとき、「なんやそれー、めっちゃおもろいなぁー」とか言って、ちょっと笑う。
目尻にしわができて、伏目になって。
うわー、マツゲ長いなー、とか思う。
女なんてみんな、マスカラやーなんやーて無理やり伸ばしてるのに、なんでおまえそんなにマツゲ長いねん!
ほんで、その、左目下のホクロ!
エロいねん!
ちくしょ、可愛い。
どこの高校にいくか(というより、いけるか)が15歳の夏につきつけられて、
正直高校なんてどこ行っても同じやろ? とか思ってたけど、
由樹が私立の高校行くって行ったから、俺も同じとこ選んだ。
けっこう勉強したで。
カツカツやった。
でも由樹が「けんいっちゃんもその高校にするん? 大丈夫なん?」とか言うし、
「まかせとけ!」とか俺も大見得きるしで、
まぁ・・・
結局由樹にいろいろ教えてもらったりとかして、どうにかこうにか合格できたってわけで。
「由樹! 俺、受かってた!」
「あ、ほんま? また一緒やな」
担任から合格通知を受けて、一番に由樹に伝えた。
「由樹、受かってた?」
「よゆー」
「ハハハ、おまえほんまは頭いいもんなぁ」
「ほんまは、ってどういう意味やねん。あんま努力したくないねん。合格圏内のガッコしか受けへんって決めてたん」
ふだんはそんなにしゃべらない由樹が、俺の冗談にはそれなりに反応してくれる。
それすら嬉しくて。
どんどん、
溺れてく。
でも、加速する気持ちを抑えれるわけもなくて。
てゆうか、抑えるとか、意味わからん。
好きやねんもん。
想うだけなら・・・。
いいやん。
「高校には留年っていう恐ろしいモンがあんねんて」
「・・・恐ろしいな、それは」
「けんいっちゃんには恐ろしいやろ? まぁ、俺には関係ないけどな」
「おまえ・・・なんかむかつくな・・・」
無表情が、俺には冗談を言う。
俺は特別やって思ってええん?
親友の中での、特別でもええで、もうこの際。
好きや。
好きやで、由樹。
「まぁ、無事進路も決まったことやし、またバンドやろうや、由樹」
「ん、せやな」
好きやで。
届かなくても、別にいいいねん。
「あ、ピアスあけて、由樹」
「・・・は? 俺が?」
「だって、自分では怖くてあけられへんねん」
「・・・ヘタレ」
「ヘタレ言うな」
おまえにあけてほしいねん。
俺、どんどんおかしくなってくなぁー。
でも、いいねん。
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