企画物 【ラストダンス 番外編】
□過去の拍手短編小説
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【いぬ】(梅崎×吾妻)
「なぁー、つまっちゃんよー。ほんっと、おまえって犬みたいだなぁ」
俺が冗談めかしてそう言うと、
男はにやっと笑って、
俺に飛びついて来る。
「ご主人には、尻尾高速回転ですぜ」
そう言って、彼は俺の唇をぺろりと舐めて、
にこにこと笑った。
その垂れた目尻が好きだ。
この、昼下がりの、
おまえと部屋でまったり、ってのがさ。
「かわいすぎ、おまえ」
俺は毛並みのいい大型犬よろしくの吾妻をぎゅっと抱き締める。
くぅんと愛しく鳴く犬の素振りで、吾妻もまた俺を抱き締めた。
「咲子さんに見られたら、バカップルって罵られることは、もう承知の上!!」
「おう、望むところだな」
おいおい、吾妻よ。
口では強気なこと言ってるけど、
尻尾が若干、弱気じゃないか。
「…やっぱ咲子さん、こわいよねぇ」
吾妻の本心。
なるほど、と俺は笑った。
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誰だって咲子さんは怖い。
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