記念もの
□シンデレラ☆
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「わぁ…」
「さぁ、早くし給え。
12時になったら、君はまたあのみすぼらしい見る影もない姿に戻ってしまうのだよ」
―――酷い。
「だから、これに乗るのかい?」
「折角僕が出したんだ。それとも歩いて行きたいのか?」
「うう…」
どうやら、頭側に乗っている前髪の長い青年が操縦するようでした。
鞭を持っている姿は何だが滑稽でしたが、シンデレラはあえて何も言いませんでした。
「何から何までどうも有難う」
「礼はいらない。借りは、返してもらう主義なんでね」
そのときの魔法使いの表情にシンデレラは一抹の不安を覚えましたが、
シンデレラは乗り物酔いを起こしてしまい、
「楽しみにしてい給え」
という彼の台詞を耳にすることはできませんでした。
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